コーディネーター

コーディネーターとは

「コーディネーター」（英語: coordinator）とは、特定の目的を達成するために、様々な要素や関係者の間で調整や手配を行う役割を担う人を指します。その活動範囲は非常に広く、専門的な知識や経験が求められる場面が多々あります。特定の分野においては、その役割を果たすための資格制度が存在することもあります。

多様な分野における役割

コーディネーターという名称は、社会の様々な領域で使用されています。それぞれの分野に応じて、調整の対象や内容は大きく異なります。

再開発コーディネーター

都市再開発事業において、再開発コーディネーターは事業全体の推進役として中心的な役割を担います。この事業は、土地や建物の権利関係が複雑に絡み合い、行政、デベロッパー、権利者など多岐にわたる関係者の合意形成が不可欠です。再開発コーディネーターは、高度な専門知識（法律、建築、不動産、金融など）と豊富な経験を活かし、関係者間の調整、技術的な助言、事業計画の立案・推進を行います。老朽化した市街地の再生、中心部の活性化、マンションの建て替えなど、複雑な都市再生プロジェクトを円滑に進めるためには、再開発コーディネーターのような専門職の存在が不可欠であり、その職能は再開発コンサルタントによって担われています。今日では、不動産の信託や証券化といった新たな手法も取り入れられる中で、彼らの専門性と調整能力への期待はますます高まっています。

資格として存在するコーディネーター

特定の専門分野においては、「コーディネーター」が資格の名称として定められています。これらは、その分野における一定水準の知識や技能を有することを証明するものです。

インテリアコーディネーター: 快適で魅力的な住空間や商業空間などを実現するために、利用者の要望に基づいてインテリア計画を作成・提案し、工事や手配の調整を行います。
再開発プランナー: 財団法人再開発コーディネーター協会が認定する資格で、都市再開発事業の計画策定や推進における専門性を示します。
福祉住環境コーディネーター: 高齢者や障がいのある方が安全かつ快適に生活できるよう、住環境の整備に関する専門知識を提供し、改修などの調整を行います。
カラーコーディネーター / 色彩コーディネーター: 色に関する専門知識を活かし、ファッション、インテリア、商品開発など様々な分野で色彩計画やアドバイスを行います（色彩検定合格者にも色彩コーディネーターの呼称があります）。
日本伝統文化コーディネーター: 日本の伝統文化に関する知識を基に、関連イベントの企画や普及活動における調整を行います。
歯科分野: 日本歯科審美学会認定のホワイトニングコーディネーターや、歯科治療における患者と医療者間の調整を担う歯科トリートメントコーディネーターなどがあります。
葬祭・仏事分野: 葬儀や仏事に関する専門知識を持ち、式の進行や手配に関する調整を行う仏事コーディネーターが、全日本宗教用具協同組合や葬祭業界に存在します。
アシスティブテクノロジーコーディネーター: 全日本情報学習振興協会が試験を認定しており、障がいを持つ人々の情報アクセスを支援する技術の活用に関する調整を行います。
ジュエリーコーディネーター: 宝石や宝飾品に関する専門知識を活かし、商品選定や顧客へのアドバイス、イベント企画などにおける調整を行います。
プレハブ住宅コーディネーター: プレハブ建築協会が資格認定制度を設けており、プレハブ住宅の販売や建築に関する専門知識と調整能力を示します。
住宅建築コーディネーター: 職業技能振興会や住宅建築コーディネーター協会が認定しており、住宅建築における顧客と建築業者間の様々な調整をサポートします。
ワインコーディネーター: 日本ソムリエ連盟(ANSA)が認定する資格で、ワインに関する深い知識に基づき、選定やサービスに関する調整を行います。
災害ボランティアコーディネーター: 災害発生時に、被災地でのボランティア活動を円滑に進めるため、ボランティアとニーズのマッチングや活動調整を行います（サポートコミュニティ飛騨などが養成講座を主催）。
災害時通訳コーディネーター / 災害通訳士: 地球市民交流会が資格を認定しており、災害時に必要な多言語による情報伝達や通訳の手配・調整を行います。

その他の多様なコーディネーター

資格名として定められていないものの、専門的な調整役として「コーディネーター」と呼ばれる職種や役割は他にも多数存在します。

移植コーディネーター: 臓器移植において、提供者とレシピエント間の調整や、医療機関、家族との連絡・調整を行います。
治験コーディネーター (CRC): 臨床試験（治験）において、被験者、医師、製薬会社間の情報伝達やスケジュール調整などを行い、治験が円滑かつ倫理的に実施されるようサポートします。
テーブルコーディネーター: 食空間やイベントでのテーブルセッティングに関する知識と技術を活かし、企画・調整を行います。
派遣コーディネーター: 人材派遣会社において、求職者と企業のマッチング、就業条件の調整などを行います。
番組コーディネーター / 取材コーディネーター / 撮影コーディネーター / ロケーションコーディネーター: テレビ番組制作や取材、映像撮影において、出演者、場所、機材、スタッフなどの手配やスケジュール調整を行います。
フードコーディネーター: 食に関する幅広い知識に基づき、メニュー開発、飲食店のプロデュース、料理教室、メディア出演など多岐にわたる活動を調整・企画します。
ブライダルコーディネーター: 結婚式の企画から準備、当日の進行まで、新郎新婦と様々な業者（式場、ドレス、装花、写真など）の間に入り、全体の調整を行います。
ITコーディネータ: 企業のIT戦略立案からシステム導入、運用まで、経営者とIT技術者の間に入り、調整・推進を行います。
トリートメントコーディネーター / クリニカルコーディネーター: 美容医療や歯科治療などの現場で、患者の要望と治療計画の調整、カウンセリングなどを行います。
フットボールのディフェンス・オフェンスコーディネーター: アメリカンフットボールなどで、チームの守備または攻撃の戦略立案やプレイコールに関する調整を担います。
グリーンコーディネーター: 植物や造園に関する専門知識を用いて、空間の植栽計画やメンテナンスに関する調整を行います。
ドリルチーム (ダンスチーム) チームコーディネーター: ダンスチームの練習計画、遠征手配、衣装準備など、チーム運営に関わる調整を行います。
アロマコーディネーター: アロマセラピーに関する知識に基づき、顧客へのカウンセリングやアロマ製品の提案、教室運営などに関する調整を行います。
ボランティアコーディネーター: 様々なボランティア活動において、参加者と受け入れ側の調整、活動計画の策定・推進を行います。
アクションコーディネーター: 映画や舞台などで、格闘シーンなどのアクション演出を考案し、出演者の指導や安全管理に関する調整を行います。
インティマシー・コーディネーター: 映像制作において、ヌードや性行為を含むシーンに関する出演者の安全と表現の意図が守られるよう、制作陣と出演者の間に入って調整を行います。
YFU地区コーディネーター: 高校生の交換留学プログラム（YFUなど）において、留学生とホストファミリー、学校などの間の連絡・調整を行います。
薬膳コーディネーター: 中国薬膳研究会などが認定しており、薬膳に関する専門知識に基づいて献立作成やアドバイスを行います。
ファッションコーディネーター: ファッションに関する知識とセンスを活かし、個人のスタイリングやアパレルブランドのプロデュースなどにおける調整を行います。
パルクールコーディネーター: パルクール（移動術）のパフォーマンスや指導、安全管理に関する調整を行います。

また、特定の組織における役職名として「コーディネーター」が用いられるケースもあり、ツェリン・トブゲ氏が政党党首をこの役職名で呼称された例や、国際交流基金日米センターが日米間の草の根交流プログラムにおいて有償ボランティアを「コーディネーター」として派遣する例などがあります。

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