松林桂月

松林 桂月（まつばやし けいげつ）

松林桂月（1876年8月18日 - 1963年5月22日）は、日本の著名な日本画家であり、特に南画の分野で数々の業績を残しました。彼は山口県萩市に生まれ、本名を伊藤篤、字は子敬といいました。彼の妻である松林雪貞も、日本画家として知られています。

桂月は「最後の文人画家」として名高く、南画の伝統を大切にしながらも、近代の写生画の流行を巧みに取り入れたスタイルで評価されています。彼の作品には、漢籍や漢詩から得た深い教養が色濃く反映されています。特に、彼が用いる右上から左下に向かう構図は、彼の作品の特徴の一つであり、力強さと優雅さを兼ね揃えた表現の一端を示しています。

経歴

桂月は地元の尋常小学校を卒業した後、経済的な支援を受けながら上京しました。1894年には画家の野口幽谷の元で修行を始め、南画において新しい表現を模索しました。彼はその後、南画界の重鎮と呼ばれるようになり、官展にも中心的な画家として参加しました。1906年には日本南宗画会を結成し、1919年には帝展の審査員として活躍しました。また、1932年と1937年にはそれぞれ帝国美術院および帝国芸術院の会員の称号を得ています。1944年には帝室技芸員に任じられました。

彼の最盛期は、戦前の40代後半から60代にかけて続き、この時期に多くの力作が生み出されました。戦後も積極的に活動を続け、日中文化協会や日本美術協会での役職に就くなど、文化・美術界における影響力を発揮しました。特に、戦後に日展に書道が加わる際の働きかけは彼の功績とされていますが、近代の前衛書道については評価しなかったことでも知られています。

1958年には文化勲章を受章し、文化功労者としても認められました。さらに、1961年には日本南画院の会長に就任し、贈られる名誉を引き寄せた人物でした。彼の死後には従三位勲二等旭日重光章を受賞しています。

代表的な作品と著書

桂月の作品には、「香外居画譜」や「田能村竹田」、さらには「桜雲洞画譜」などがあります。これらの著作は、彼の深い画力や考え方を知るための大変貴重な資料です。また、1947年に設立された日展においても重要な役割を果たしました。彼の作品は、今でも多くの人々に親しまれ、南画の魅力を伝えています。

彼の弟子には白井烟嵓や大平華泉、西野新川などが名を連ねています。桂月の霊は青山霊園に埋葬されており、彼の存在は日本画界において永遠に語り継がれることでしょう。彼の作品や業績は、今後も多くの人々に影響を与え続けるに違いありません。

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