松柳亭鶴枝 (4代目)

1991年6月14日、北海道に生まれた松柳亭鶴枝は、落語協会に所属する落語家です。本名は海野 達哉。彼の定紋は「三つ追い折れ松葉に折鶴」と定められています。

北海道札幌北高等学校を卒業後、落語の道へと進んだ彼は、2010年2月に四代目柳亭市馬師の門を叩きました。同年9月11日には前座として認められ、「市助」という名を授かり、プロの落語家としての第一歩を踏み出しました。

前座として研鑽を積んだ後、2015年5月21日には林家けい木（後の林家木久彦）、柳家吉緑、柳家やなぎ、林家なな子といった他の同期と共に二ツ目に昇進。これを機に、前座名の「市助」を改め、「柳亭市童」として新たな一歩を踏み出しました。

二ツ目時代には、その実力と将来性が高く評価されました。2018年12月には、第4回渋谷らくご大賞において「おもしろい二つ目賞」を受賞し、注目を集めます。さらに、真打昇進を間近に控えた2024年8月には、若手落語家の登竜門の一つとされる第35回北とぴあ若手落語家競演会にて奨励賞を獲得するなど、着実に実績を積み上げていきました。

そして、2025年3月21日、柳家緑太、柳家花飛、林家木久彦、柳家吉緑らと共に、栄えある真打への昇進を果たします。この日、彼は「四代目松柳亭鶴枝」という由緒ある名跡を襲名しました。

松柳亭鶴枝の名跡は、三代目が1947年に没して以来、実に78年もの長きにわたり空席となっていたものです。三代目は、俳優の尾藤イサオ氏の実父であり、歌手の尾藤桃子氏の祖父としても知られた人物でした。その歴史ある大名跡が、78年の時を経て、四代目松柳亭鶴枝として彼の手により見事な復活を遂げたのです。

高座における出囃子も、昇進を機に変わりました。柳亭市童時代には、自身の出身地である北海道にちなんだ「北海盆唄」に乗せて登場していましたが、四代目松柳亭鶴枝襲名後は、「吾妻八景 佃合方」を新たな出囃子としています。

柳亭市馬門下で育ち、若くしてその才能を開花させた彼は、二ツ目時代に複数の賞を受賞するなど、着実に評価を高めてきました。そして、78年ぶりに復活した松柳亭鶴枝という大名跡を四代目として継承し、真打として落語界の更なる発展を担う存在となりました。その豊かな表現力と伸びやかな芸で、今後の活躍が大いに期待される噺家の一人です。

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