松橋公治

松橋 公治の生涯と業績

松橋 公治（まつはし こうじ、1953年4月13日 - 2024年6月20日）は、日本の経済地理学の分野で知られる地理学者であり、特に工業地理学を専門としていました。明治大学の名誉教授として活動し、学問の発展に多大な貢献を果たしました。

経歴

松橋は1953年、岩手県九戸郡軽米町に生まれました。地元の書店兼文房具店で育ち、多くの兄弟姉妹と共に青春を過ごしました。中学校までは故郷で生活し、その後盛岡市の岩手県立盛岡第一高等学校に進学しました。高校時代には野球部に所属し、遊撃手として3年間レギュラーとして活躍し、主将も務めました。

1972年、高校卒業後に一浪を経て東京都立大学理学部地理学科に進学。大学時代には、先輩方と研究会を組織し、助手として勤務する山川充夫からの指導を受けました。学外の専門家からも影響を受け、特に同じく助手として働く和田明子から多くの知見を得ることができました。

その後、東京大学の大学院に進学し、経済地理学の研究環境で多様な学識を積み重ねました。博士課程を退学後、茨城大学教養部の教員としてのキャリアをスタートさせ、1988年には明治大学文学部に転職しました。

1980年代末からは、ドリーン・マッシーの「構造的アプローチ」に取り組む中で、富樫幸一とともにマッシーの重要な著作の監訳を手掛けました。2000年代に入ると、明治大学内の学園正常化に寄与し、2000年には学生部長として、様々な課題に向き合うこととなりました。また、2008年から2015年にかけて学生部長・学務担当副学長として、学生支援にも力を注ぎました。

松橋は経済地理学会において非常に活発に活動し、2018年から2024年の間、会長の重責を担いました。2024年3月に明治大学を定年退職し、4月には名誉教授の称号を授与されましたが、最期の期間は健康に問題を抱え、胆管癌のために2024年に急逝しました。

おもな業績

松橋は単著の著作こそなかったものの、多数の論文集の執筆や学術誌への寄稿を行い、その研究は高く評価されています。特に1982年に公表した北関東における自動車関連産業の下請け関係についての3篇の論文は、「両毛三部作」として知られ、経済地理学の分野で広く影響を与えました。これらの論文は、地域の産業構造を詳しく分析し、その変化を捉える重要な視点を提供しました。

代表的な論文

• - 松橋公治「両毛地区における自動車関連下請小零細工業の存立構造」『地理学評論』第55巻、日本地理学会、1982年
• - 松橋公治「両毛地区自動車関連下請工業の存立構造：日産系二次下請企業層を中心に」『経済地理学年報』第28巻、経済地理学会、1982年
• - 松橋公治「自動車産業を支える地域のメカニズム」『地理』第27巻第8号、古今書院、1982年

さらに、共編著としては、産業地理に関する著作を手掛け、多くの知見を後輩たちに伝えました。松橋はその生前に、業界における彼の熱意と努力によって多くの学生や研究者に影響を与え続けました。彼の業績は、今後の研究においても重要な指針として位置づけられることでしょう。

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