松永義弘

松永義弘

松永義弘（まつなが よしひろ、1928年4月10日 - 2016年6月13日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の作家です。佐賀県に生まれ、日本大学法文学部史学科を卒業しました。彼は、歴史小説家として幅広い作品を手がけ、日本の歴史に名を残す人物や出来事を題材にした物語を数多く発表しました。

生涯と作品

松永義弘は、歴史に対する深い知識と情熱をもとに、独自の視点から歴史小説を創作しました。彼の作品は、史実に基づきながらも、登場人物の心情や人間ドラマを豊かに描き出すことで、読者に歴史の奥深さと面白さを伝えています。

初期の作品には、『天保あばれ振袖』(1964年)や『海流』(1965年)などがあり、その後も『猿飛佐助は女だった』(1968年)、『おねね太閤記』(1969年)といった作品を発表し、幅広い読者層を獲得しました。特に、豊臣秀吉の妻であるおねね（ねね）を主人公にした作品は、彼女の視点から戦国時代を描き出し、人気を博しました。

1970年代以降も、松永義弘は精力的に執筆活動を続けました。『柳生又右衛門』(1971年)や『地獄の車輪梅 埋御門番衆控』(1972年)などの時代小説に加え、『合戦 物語と史跡』(1974年)では、歴史的な合戦の舞台となった場所を訪ね歩き、その背景にある物語を掘り下げました。また、『大石内蔵助』(1975年)、『大村益次郎』(1977年)、『高杉晋作』(1977年)など、歴史上の人物に焦点を当てた作品も多く手がけました。

松永義弘の作品は、歴史小説にとどまらず、様々なジャンルに及びます。『トリとネコと無風先生の航海 日本ヨット紀行』(1985年)では、ヨットでの旅の体験をユーモラスに描き出し、新たな一面を見せました。また、山本常朝の『葉隠』を現代語訳するなど、古典の普及にも貢献しました。

晩年まで創作意欲は衰えず、『佐賀士魂 出自に生き任免に死す』(2005年)などの作品を発表し続けました。2016年6月13日に逝去しましたが、彼の作品は今も多くの読者に愛され、読み継がれています。

主な著書リスト

『天保あばれ振袖』(1964年)
『海流』(1965年)
『猿飛佐助は女だった』(1968年)
『おねね太閤記』(1969年)
『柳生又右衛門』(1971年)
『地獄の車輪梅 埋御門番衆控』(1972年)
『合戦 物語と史跡』(1974年)
『大石内蔵助』(1975年)
『大村益次郎』(1977年)
『高杉晋作』(1977年)
『柳生無刀剣』(1977年)
『かかあ太閤記 おねねと秀吉』(1978年)
『柳生一族の陰謀』(1978年)
『斬る』(1978年)
『北条政子の生涯』(1978年)
『加波山事件』(1979年)
『真田一族の陰謀』(1979年)
『伊達政宗』(1981年)
『上杉謙信』(1982年)
『川中島の合戦』(1982年)
『覇者徳川家康』(1982年)
『毛利元就』(1984年)
『人間宮本武蔵』(1984年)
『その後の宮本武蔵』(1984年)
『一ノ谷・屋島・壇ノ浦の合戦 物語と史蹟をたずねて』(1984年)
『トリとネコと無風先生の航海 日本ヨット紀行』(1985年)
『武蔵坊弁慶』(1986年)
『豊臣秀吉』(1986年)
『少年通訳アメリカへいく幕末の遣米使節団に通訳として参加した立石斧次郎』(1988年)
『真田幸村 物語と史蹟をたずねて』(1988年)
『土方歳三』(1989年)
『大久保利通 物語と史蹟をたずねて』(1989年)
『石火の一刀 御子神典膳』(1990年)
『蜂須賀秘聞』(1991年)
『越後からの雪だより 『北越雪譜』をかいた鈴木牧之と江戸の文人たち』(1991年)
『虹かかる海 中浜万次郎』(1993年)
『乱世に吼ゆ』(1994年)
『佐賀士魂 出自に生き任免に死す』(2005年)
現代語訳 山本常朝『葉隠』(1980年)

関連項目

日本の小説家一覧
* 時代小説・歴史小説作家一覧

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