松永長頼

松永長頼（内藤宗勝）：戦国時代の武将、その生涯と丹波での活躍

松永長頼、または内藤宗勝は、戦国時代に三好氏の家臣として活躍した武将です。松永久秀の弟であり、内藤如安の父としても知られています。丹波国船井郡の八木城を拠点とし、その生涯は激動の戦国時代を色濃く反映しています。

三好政権下での出世

松永氏は摂津国東五百住村の土豪出身とされ、長頼も兄・久秀と同様に三好長慶の家臣となりました。1549年、長慶が細川氏綱を擁して上洛すると、長頼は細川氏綱から山城国山科七郷を与えられ、さらに天龍寺領西岡長井荘の下司職にも就任しました。翌1550年には、将軍・足利義輝や細川晴元が近江国の六角定頼と共謀して京都に攻め込みましたが、長頼は近江国坂本に侵攻して放火し、義輝を撤退させました。しかし、翌1551年には、兄・久秀と共に近江に攻め込むも敗北を喫しました。

同年、細川晴元方の三好宗渭・香西元成が京都に攻め込んだ際には、長頼は兄・久秀とともに摂津・河内・大和から大軍を率いて相国寺でこれを打ち破るなど、その武勇を示しました。

丹波侵攻と内藤氏の継承

1553年、長頼は兄・久秀と共に丹波国へ出陣し、波多野秀親の居城である数掛山城を包囲しました。この際、援軍として現れた香西元成・三好宗渭の奇襲を受け、三好方の丹波守護代・内藤国貞が戦死する事態となります。危機に瀕した八木城には、国貞の娘婿となっていた長頼が急遽入り守り抜きました。その後、内藤氏の家督は長頼の子・千勝（後の貞勝）が継ぎ、長頼はその後見人として八木城に在城しました。

当初、長頼の子である千勝が内藤氏を継承することが決定しましたが、その後、長頼自身が内藤氏を継ぐこととなり、最終的には1562年に内藤氏の当主となりました。これにより、三好長慶は丹波守護代である内藤氏を従属させることに成功しました。

長頼は内藤氏を継承した後、松永蓬雲軒宗勝と名乗り、内藤家を乗っ取る意思がないことを表明しました。宗勝は丹波における波多野氏との戦いを主導し、1559年までには波多野秀親や波多野次郎を帰順させ、波多野元秀の八上城を奪取しました。さらに、氷上郡黒井城の赤井時家・荻野直正父子を播磨国三木に追放するなど、丹波全域をほぼ制圧しました。

文化面では、儒学者の清原枝賢と交流し、その祖父が記した『貞永式目抄』を与えられています。枝賢が書き加えた奥書には、「丹州太守蓬雲宗勝」とあり、宗勝が丹波の太守として独自の裁定を行っていたことが伺えます。

1560年には、波多野元秀の与党と見られる丹波牢人を若狭で破り、若狭や丹後でも軍事行動を繰り返しました。特に若狭では、武田氏からの自立を目指す逸見氏に味方し、武田氏と戦いました。

長頼の子である貞勝は、1561年に備前守貞勝と名乗っていますが、その後、何らかの理由で家督から外れ、1562年には宗勝が備前守を名乗り、内藤家の当主となりました。

三好政権下での軍事活動

宗勝は丹波のみならず、三好長慶の下で軍事活動を続けました。1558年には、義輝・晴元らが上洛を企てると、兄と共に将軍山城・如意ヶ嶽で幕府軍と交戦しました。1559年と1560年の河内国遠征、1562年の畠山高政との戦いにも丹波国衆を率いて出陣し、三好政権の有力な軍団長として活躍しました。

最期

1561年、宗勝は逸見氏と共に若狭高浜の戦いで武田氏と朝倉氏に敗北し、丹波の何鹿郡衆が赤井氏・荻野氏方につく一因となりました。1562年、波多野元秀も勢いを盛り返し、各地の土豪に諸役免除の文書を発給するなど、巻き返しを図りました。

1564年7月に三好長慶が死去し、その後、1565年の永禄の変を経て、三好氏の勢力が衰退する中、1565年8月2日、宗勝は荻野直正との戦いで討死しました。この後、1566年には松永孫六が波多野元秀に八上城を奪い返され、三好氏は丹波を失うこととなりました。内藤氏の家督は、子の貞弘（後の如安）が継ぎました。

まとめ

松永長頼、内藤宗勝は、三好政権下で重きをなし、丹波国をほぼ制圧した武将でした。その生涯は、戦国時代の激しい動乱の中で、三好氏の家臣として、また内藤氏の当主として、数々の戦いを繰り広げたものでした。その活躍は、当時の歴史を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索