細川氏綱

細川氏綱：激動の戦国を生き抜いた武将

細川氏綱（ほそかわ うじつな）は、戦国時代の武将であり、摂津国の守護を務めました。細川京兆家の18代当主として、波乱に満ちた時代を生きました。官位は従四位下・右京大夫。

生涯

細川氏綱は、典厩家4代当主・細川尹賢の子として生まれました。当初は細川高国の養子となり、高国と対立していた細川晴元との間で、複雑な立場に置かれます。

養父の高国が晴元との戦いで敗死し、実父も晴元方に殺害されたことで、氏綱は晴元打倒を決意します。高国の弟である細川晴国とは、後継者の地位を巡って微妙な関係にありました。

1526年、氏綱と晴国は同時に元服し、当初は「清」という一字名の諱を用いました。これは、氏綱が将来的に典厩家を継承する可能性も考慮されていたためと考えられています。

1527年以降、氏綱は和泉国に拠点を移し、後の蜂起の際には常に和泉から活動しました。1538年、細川国慶とともに晴元を討つために挙兵。以降、断続的に蜂起を繰り返しますが、当初は晴元の勢力に圧倒され劣勢でした。

1543年、氏綱は初めて「氏綱」と名乗り始めます。1546年、晴元の家臣であった三好長慶が堺を離れた隙をつき、遊佐長教や筒井順昭らと堺を包囲。その間に細川国慶が京を制圧し、晴元を丹波国に敗走させます。さらに将軍・足利義晴の支持も得ましたが、翌年には晴元側の反撃にあい、国慶も戦死したため、この試みは失敗に終わります。

しかし、三好政長の処遇を巡り、長慶が晴元と対立し、氏綱側に転じたことが転機となります。1549年、長慶が政長を討ち、晴元は京を放棄、近江国へと追放されることになります。

1552年には長慶とともに上洛を果たし、右京大夫に任じられて、細川京兆家の家督を継ぎます。その後、山城国淀城を居城としました。1564年、淀城にて51歳で亡くなります。

人物・評価

氏綱は、一般的には三好長慶の傀儡として認識されていました。しかし、近年の研究では、上洛当初は寺社が長慶だけでなく氏綱からの書状を求めていたこと、丹波支配において複数の書状を出していることなど、一定の影響力を持っていたことが指摘されています。長慶も形式上は氏綱を主君として立てていました。

馬部隆弘は、内藤国貞の戦死までは氏綱と長慶の共同統治体制であり、その後は長慶に実質的な権力を委ねる代わりに、氏綱は京兆家当主としての地位を保ったと評価しています。氏綱は単なる傀儡ではなく、長慶や三好政権にとって積極的な協力者だったと再評価されています。

偏諱を受けた人物

多羅尾綱知

脚注

参考文献

天野忠幸『戦国期三好政権の研究』清文堂出版、2010年。
下川雅弘「三好長慶の上洛と細川氏綱」『三好長慶』宮帯出版社、2013年。ISBN 978-4-86366-902-4。
小谷利明「畠山稙長の動向」『戦国期の権力と文書』高志書院、2004年。
岡田謙一 著「細川晴国小考」、天野忠幸、片山正彦; 古野貢 ほか 編『戦国・織豊期の西国社会』日本史史料研究会企画部〈日本史史料研究会論文集〉、2012年。
馬部隆弘 著「細川晴国・氏綱の出自と関係-「長府細川系図」の史料批判を兼ねて-」、天野忠幸; 片山正彦; 古野貢 ほか 編『戦国・織豊期の西国社会』日本史史料研究会企画部〈日本史史料研究会論文集〉、2012年。
馬部隆弘「細川国慶の出自と同族関係」『史敏』第9号、2011年10月。
馬部隆弘「細川国慶の上洛戦と京都支配」『日本史研究』第623号、2014年7月。

関連項目

越水城
東林院
* 畿内・近国の戦国時代

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