松浦年男

松浦 年男

松浦 年男（まつうら としお）氏は、1977年に東京都墨田区に誕生した日本の言語学者です。特に音声学を専門分野としており、言語における音韻構造や地域差に関する研究で知られています。現在、北海道札幌市に所在する北星学園大学文学部の教授として、教育活動に携わるとともに、精力的な研究活動を展開しています。九州大学大学院にて学術を深め、博士（文学）の学位を取得しています。

略歴

松浦氏の学術的な道のりは、2000年3月に大東文化大学外国語学部日本語学科を卒業したことに始まります。その後、より専門的な研究を目指し、九州大学大学院人文学府の言語・文学専攻（言語学専修）に進学。2002年3月に修士課程を修了し、さらなる知見を深めるため博士課程へと進みました。2007年3月には博士課程の単位を取得し、満期退学となりますが、同年4月からは九州大学人文科学研究院の専門研究員として、引き続き研究に邁進しました。

教育機関でのキャリアは、2009年4月に北星学園大学文学部の専任講師として採用されたことでスタートします。その後の実績が認められ、2013年4月には同大学の准教授に昇任。そして、2020年4月からは現職である教授として、後進の指導にあたりながら、自身の研究を推し進めています。

研究分野と業績

松浦氏の主要な研究領域は音声学です。言語における音声の生成、知覚、構造、そして変異といった多岐にわたる側面に焦点を当てています。特に、日本語の地域差、いわゆる方言における語音調（単語の音の高さのパターン）の構造分析は、氏の研究の中心的なテーマの一つです。長崎方言など、特定の地域言語の音声特性を詳細に分析することで、日本語全体の音声体系やその歴史的変遷の理解に貢献しています。

これらの長年にわたる研究活動は、学術界から高い評価を受けており、その成果は第42回金田一京助博士記念賞の受賞という形で顕彰されています。この賞は、日本語学の研究者にとって非常に名誉あるものであり、松浦氏の業績の重要性を示しています。

主な著作

松浦氏は、自身の研究成果をまとめた単著や、複数の研究者との共著を出版しており、専門家だけでなく、日本語や言語学に関心を持つ一般の読者にもその知見を提供しています。主な著作は以下の通りです。

単著

『長﨑方言からみた語音調の構造』ひつじ書房, 2014年2月

共著

坂本勉編『Communicating Skills of Intention』ひつじ書房, 分担執筆 (ch.19 pp-239-255担当), 2007年2月
小松川浩・中﨑温子・仲道雅輝・早瀬郁子・松浦年男・山下由美子・湯川治敏『大学生のための日本語問題集』ナカニシヤ出版, 2017年9月
仲道雅輝・山下由美子・湯川治敏・小松川浩編 『大学初年次における日本語教育の実践』（大学における学習支援への挑戦３）ナカニシヤ出版, 分担執筆 (第7章、第11章), 2018年3月
Haruo Kubozono, Mikio Giriko『Tonal Change and Neutralization』Mouton de Gruyter, 分担執筆 (第5章 pp58-82担当), 2018年3月
木部暢子編『明解方言学事典』三省堂, 2019年4月
* 松浦年男・田村早苗『日本語パラグラフ・ライティング入門: 読み手を迷わせないための書く技術』研究社, 2022年8月

氏の研究成果や活動状況については、researchmap, J-GLOBAL, KAKEN科学研究費助成事業データベースなどのオンラインプラットフォームや、所属機関である北星学園大学の研究者総覧からも情報を得ることができます。

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