松浦棟

松浦棟（まつら たかし）は、江戸時代前期から中期に活躍した大名で、肥前国平戸藩の第5代藩主を務めました。彼の藩主としての歩み、文化人としての側面、そして家族との関係について詳しく見ていきましょう。

生涯

正保3年（1646年）に4代藩主・松浦鎮信（天祥）の長男として江戸で生まれました。幼名は源三郎。明暦2年（1656年）に4代将軍徳川家綱に拝謁し、万治3年（1660年）には従五位下・壱岐守に叙任されました。寛文2年（1662年）には父と共に初めてお国入りを許されています。元禄2年（1689年）に江戸城の奥詰めとなり、同年、父の隠居により家督を継ぎました。この時、弟の昌に1万石を分与しています。元禄4年（1691年）には奏者番兼寺社奉行に就任しますが、元禄7年（1694年）に両職を辞任。長崎の検察官も務めました。

藩主として

棟は、荒廃に苦しむ農民の救済に尽力しました。また、元禄17年（1704年）には、先代藩主が破却した平戸城の再建に着工し、宝永4年（1707年）にほぼ完成させました。文化人としても優れており、自らの日記である『履担斎遺文』160巻は、当時の社会や文化を知る上で貴重な史料となっています。

家族との関係と晩年

棟は長年腰痛に苦しみ、妻に先立たれ、将軍・徳川綱吉に寵愛された長男・長にも先立たれるという不幸に見舞われました。そのため、元禄9年（1696年）に弟の篤信を養嗣子として迎えます。正徳3年（1713年）に腰痛を理由に家督を譲って隠居し、同年9月22日に病のため68歳で亡くなりました。墓所は平戸の雄香寺にあります。法号は雄香寺殿前壱州太守俊林宗英大居士。

系譜

父：松浦鎮信（1622年 - 1703年）
母：松平忠国の娘
正室：百 - 松平信綱の娘
側室：嘉智 - 奥田高秀の娘
長男：松浦長
女子：秋月種政正室
養子：松浦篤信（松浦鎮信の四男）
養女：加藤嘉矩正室（秋月種封の娘）

松浦棟は、藩主として領民を思いやり、文化人として後世に貴重な遺産を残した人物として、歴史に名を刻んでいます。

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