松浦正孝

松浦 正孝（まつうら まさたか）

松浦正孝は、1962年に神奈川県で生まれた日本の政治学者であり歴史学者です。彼は現在、立教大学法学部の教授として教鞭を執り、日本政治史の研究を専門としています。

学歴と経歴

松浦氏は、栄光学園高校を卒業後、1985年に東京大学法学部を卒業しました。さらに同大学の大学院法学政治学研究科に進学し、1992年には単位取得退学、そして1994年には博士（法学）の学位を取得しました。彼の初期のキャリアは東京大学法学部附属近代日本法政史料センターから始まり、助手や助教授としての役割を経て、1994年に北海道大学法学部助教授として迎えられます。2002年から2012年にかけては、北海道大学大学院で教授を務め、その後立教大学に移籍しました。

松浦氏は、国際的な視野を広げるために、台湾中央研究院近代史研究所やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの研究を行っており、これにより彼の研究が国際的なコンテクストにおいても評価されています。

研究分野と受賞歴

彼の研究は、主に日中戦争期における日本の政治と経済に焦点を当てています。特に著書『日中戦争期における経済と政治』では、近衛文麿と池田成彬に関連した政治経済史の分析を行いました。この著書は、吉田茂賞を受賞しており、彼の学術的貢献を証明するものとなっています。

主な著作

松浦氏は多くの著作を持ち、単著では次のような作品があります。

• - 『日中戦争期における経済と政治――近衛文麿と池田成彬』（東京大学出版会, 1995年）
• - 『財界の政治経済史――井上準之助・郷誠之助・池田成彬の時代』（東京大学出版会, 2002年）
• - 『「大東亜戦争」はなぜ起きたのか――汎アジア主義の政治経済史』（名古屋大学出版会, 2010年、新版2019年）

また、編著や共編著としても多数の作品に関わっています。例えば、『昭和・アジア主義の実像――帝国日本と台湾・「南洋」・「南支那」』（ミネルヴァ書房, 2007年）や、『政治学のエッセンシャルズ――視点と争点』（北海道大学出版会, 2008年）です。さらに『20世紀日本のアジア関係重要研究資料 大亞細亞主義（全8巻）』（大亜細亜協会刊、竜渓書舎, 2008年）という大作の編纂にも携わっています。

論文と研究の流れ

松浦氏の研究は、数多くの論文を通じて展開されており、特に『国際政治』や『北大法学論集』において発表された論文が多くあります。彼の研究テーマは日中戦争に関する様々な側面を含んでおり、例えば、「日中戦争収拾構想と華中通貨工作」や「日中戦争はなぜ南下したのか」といった著作は、戦争前後の経済的要因や政治的背景に焦点を当てて議論を深めています。

まとめ

松浦正孝は、日本政治史における重要な研究者として、特に日中戦争期の政治経済に関する深い洞察を提供しており、その業績は学界でも高く評価されています。彼の研究は、歴史の理解だけでなく、現代の政策や国際関係を考える上でも貴重な知見を与えています。

もう一度検索