松浦党

松浦党について

松浦党（まつらとう）は、平安時代から戦国時代まで日本の肥前松浦地方に存在していた武士団の連合を指します。その中心となる松浦氏は48の一族に分かれ、通称「松浦四十八党」とも呼ばれました。一族は特に水軍としての活動が知られており、その歴史は多岐にわたります。

起源

江戸時代中期、平戸松浦氏によって編纂された『松浦家世伝』では、松浦氏は嵯峨源氏の流れを汲む一族とされています。具体的には、渡辺綱を始祖とする渡辺氏の系統で、延久元年（1069年）には松浦郡宇野御厨の荘官となり、松浦の名字を名乗るようになったとされています。それ以前にはすでに、嵯峨源氏に関連する者たちがこの地域に居住していた証拠もあり、国司や在庁官人としての活動が確認されています。

松浦一族は所属する地名を苗字とし、一族の結合体として松浦党を形成しました。この連合は強い中央の統制ではなく、むしろ互助的な同盟関係によるものであったと考えられています。

水軍としての活動

松浦党は、地理的に多島海に面しており、朝鮮半島や中国大陸と接していたため、海を利用した交易や漁業に従事しました。特に、日宋貿易に関与していたことが影響し、海賊としてのイメージも形成されました。このため、中央貴族からは松浦党は「凶党」と呼ばれることもありました。藤原定家の『明月記』にはその記録が残されていますが、松浦党自身が自らをそう呼ぶことはなかったと言います。

松浦氏と安倍氏

多くの松浦党の一族は嵯峨源氏渡辺氏流ですが、一部には奥州安倍氏の子孫が存在していました。松浦党の系図は多岐に渡り、これまでの研究でも異論が多く、詳細は未解明の部分が少なくありません。

東国御家人との確執

松浦党は、源平合戦の際には当初、平家側に属していましたが、後に壇ノ浦の戦いでは源氏側に参戦し、勝利に貢献しました。この功績により、鎌倉幕府の西国御家人としても認められることとなりましたが、当時の環境から、不安定な立場にあったといえます。

また、元寇の際には多くの松浦党の戦士が指揮を執り、蒙古軍に立ち向かいましたが、数名の戦士が戦死するなど厳しい戦いが繰り広げられました。

南北朝時代の松浦党

南北朝時代には、九州各地で起こった倒幕勢力の乱によって松浦党は様々な動きを見せました。松浦党の家々は後醍醐天皇側や北条英時側にそれぞれ味方するなど選択が分かれ、中には足利尊氏の軍に寝返った一家もありました。このような変化を受けて、松浦党はその系譜を源氏に結び付けることを強調し始めました。

松浦一揆

松浦党は数度の一揆契約を結び、九州における武士たちの結束を強化しました。特に、1371年に九州探題として下向してきた今川了俊は、松浦党との一揆契約を推進し、20年間で数回の契約が結ばれました。

戦国大名としての成長

戦国時代には、松浦党は上松浦党と下松浦党に分けられました。上松浦党は岸岳城を拠点とし、波多氏が最大勢力を誇りましたが、最終的には滅亡しました。対する下松浦党は平戸松浦氏として成長し、関ヶ原の戦い以降には外様大名として平戸藩を構成しました。

対外関係

松浦党は鎌倉時代初期より高麗への侵攻を行い、倭寇としての活動を展開しました。これにより高麗は海賊行為に苦しむこととなり、頻繁に鎌倉幕府への取り締まりの申し入れを行いました。おそらく、松浦党は多くがこの海賊行為に関与していたと考えられています。

明代になると、平戸を拠点にした松浦党は、中国との貿易も盛んに行うようになり、豊かな商業活動を展開していくことになります。今後の松浦党とその地域の交流は、日本の歴史において重要な部分となります。

まとめ

松浦党は、日本の中世における重要な武士団であり、特に水軍としての活動や貿易関係で名を馳せました。その歴史は地域だけでなく、対外的にも影響を与えたことで多くの語り継がれるべき存在です。

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