龍造寺家兼

龍造寺家兼（りゅうぞうじいえかね）

龍造寺家兼は、室町時代中期から戦国時代にかけての武将で、水ヶ江城主を務めました。龍造寺隆信の曽祖父にあたります。

生涯

享徳3年（1454年）、肥前の国人である龍造寺氏13代当主・龍造寺康家の五男として誕生しました。当初は分家である水ヶ江龍造寺家を興していましたが、本家である村中龍造寺家が内部分裂や当主の早逝により力を弱めたため、一門の長老であった家兼が本家を補佐する立場となりました。

しかし、剛腹かつ智勇に優れていた家兼は、たちまち本家の実権を掌握し、主家に当たる少弐氏の筆頭家臣にまで上り詰めます。享禄3年（1530年）には、大内義隆が家臣の杉興運に1万の大軍を預けて侵攻させますが、家兼は筑後川の支流でこれを撃退する活躍を見せました（田手畷の戦い）。

この戦いを機に、大内義隆はその実力を認め、少弐氏から離反して大内氏に従うように勧めました。家兼は、外様の家臣（龍造寺氏は少弐氏に追われた千葉氏旧臣の家柄）であったこともあり、大内氏が主君の少弐資元を攻撃した際に積極的に救援を行いませんでした。結果として資元は自害に追い込まれ、家兼は主君を見捨てた裏切り者という疑惑を受けます。しかし、その後も家兼は資元の子・冬尚に仕えており、家兼に実際に謀反の意思があったのかについては疑問も残されています。

また、天文7年（1538年）2月に剃髪し、以後より剛忠と名乗りました。

天文14年（1545年）、剛忠が少弐資元を積極的に救援しなかったことを謀反による主君殺しと捉えた少弐氏の家臣・馬場頼周の策謀により、剛忠の2人の息子と4人の孫がことごとく誅殺されてしまいます。剛忠は辛うじて筑後国に逃れ、柳川城主・蒲池鑑盛の保護を受けました。90歳を超えた高齢であったことから、厳しい追及を受けることなく生き延びることができました。

天文14年（1546年）、蒲池氏の支援を受けた剛忠は、老躯を押して再起のために挙兵し、鍋島清房らがこれに応じました。馬場頼周を討ち、龍造寺氏を再興すると、曾孫の胤信（後の龍造寺隆信）を還俗させ、後事を託して間もなく死去しました。

関連作品

小説
今村翔吾『老躯、翔ける』（『戦国武将伝 西日本編』収録、PHP研究所、2023年）

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