松源寺 (中津川市)

松源寺について

松源寺（しょうげんじ）は、岐阜県中津川市手賀野に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を圓通山と称し、本尊には聖観世音菩薩を祀っています。

歴史

松源寺は、寛永元年（1624年）に山村甚兵衛良勝の家臣であった堀尾作左衛門一成が開基となり、木曽福島の興禅寺七世であった桂嶽祖昌を招いて開山されました。当初は駒場村に建立されましたが、寛永3年（1626年）4月に現在の場所に移転し、伽藍が建立されました。現在も中津川市駒場には「松源寺」という字名が残っており、この移転が理由とされています。

嘉永4年（1851年）、寺院は火災に見舞われ、伽藍、寺宝、古文書など一切を焼失しました。そのため、詳しい縁起は不明となっています。この火災の様子は、馬籠の大黒屋の日記にも記されています。

現在の本堂と庫裏は、安政2年（1855年）に十二世の忠山宗恕によって再建されました。十三世の通峯素融が遷化した後、一時的に無住となり荒廃しましたが、十四世の恵山自選が復興に尽力しました。昭和28年（1953年）には十五世の恵弘大應によって位牌堂が建立され、昭和54年（1979年）には本堂と庫裏の修復が行われました。

境内

境内には観音堂と稲荷大明神が祀られています。稲荷大明神は嘉永4年（1851年）の大火で焼失しましたが、再建され、古くから多くの信仰を集めています。明治33年（1900年）には観音堂が再建されました。観音堂には、江戸時代中期以前に作られたとされる烏枢澁摩明王像が安置されています。この像は、かつて苗木藩の廃仏毀釈の際に苗木雲林寺から移されたものです。この烏枢澁摩明王像は、昭和46年（1971年）10月28日に中津川市の文化財に指定されています。

また、墓地内には通称「せきばぁ様」と呼ばれる古い墓があり、咳の病に悩む人々が快癒を祈願し、煙草を供える参拝者が多く訪れます。

圓通寺

かつて手賀野村には、圓通寺という二町四方の寺域を持つ寺院が存在したと伝えられています。しかし、天正2年（1574年）の武田勝頼の東濃侵攻の際に兵火によって焼失したとされています。廃寺となった寺域と推定される場所からは、白瓷系の陶器（山茶碗）の破片が発掘されています。しかし、国道19号線バイパスの開通により、この場所の環境は大きく変化しています。

現在、廃寺跡と推定される場所の近くに「圓通山 松源寺」がありますが、両寺の関係は不明です。松源寺の近くには「圓通寺」という字名が残っています。松源寺の墓地内には、五輪塔や宝篋印塔の一部が残されており、廃寺の寺域とされる周辺部にも多くの五輪塔が存在することから、圓通寺の中心地は、松源寺より西方の手賀野公会堂付近であった可能性も考えられています。

関連寺院

興禅寺（長野県木曽町）

参考文献

『中津川市史　中巻Ⅱ』　第五編　近世(二) 第八章　寺社　第二節　寺院　ニ　近世の寺院　松源寺 　p1626～p1628　1988年
* 『恵那郡史』　第八篇　現代　第四十一章　人文の発展(一)　【各宗寺院】　p612～p619　恵那郡教育会　1926年

もう一度検索