松田道之

松田道之

松田道之（まつだ みちゆき、1839年6月22日 - 1882年7月6日）は、日本の内務官僚、政治家です。大津県と滋賀県の初代県令、そして東京府知事を務めました。特に琉球処分の中心人物として知られています。幼名は伊三郎、字は世忠、通称は正人です。

生涯

鳥取藩の家老・鵜殿氏の家臣、久保居明の次男として生まれました。初めは藩医の木下主計の養子となりましたが、後に松田市太夫の跡を継ぎました。藩校の尚徳館と、広瀬淡窓が開いた私塾、咸宜園で学び、幕末期には尊皇攘夷運動に身を投じました。

明治維新後、松田は内務官僚としてそのキャリアをスタートさせます。1869年には京都府大参事に任命され、1871年には大津県令、翌年には滋賀県令に就任しました。1875年には内務大丞に転任し、同年、琉球処分官として沖縄を視察しました。その後、1879年まで計3度琉球・沖縄を訪問し、琉球処分の断行に尽力しました。同年には東京府知事に任命されました。

しかし、琉球処分官としての激務が祟ったのか、1882年に43歳という若さで亡くなりました。戒名は順天院殿三十一海居士。青山霊園には巨大な墓碑が建てられています。

人物

松田は、京都府大参事時代に、京都府顧問であった山本覚馬から政治や経済の講義を受けていました。山本は自宅で講座を開き、槙村正直、松田道之、藤村紫朗などが学んでいました。特に松田は山本と親交が深く、彼から大きな影響を受けました。松田と藤村は後にそれぞれ滋賀県知事、東京府知事、大阪府知事に栄転しており、当時の官僚の中でも優れた人物であったことがわかります。

滋賀県令時代から地方制度改革の構想を持っており、内務大丞時代には地方三新法の制定にも中心的な役割を果たしました。これらの活動からも、松田が日本の近代化に大きく貢献した人物であることが伺えます。

主な著書

「琉球処分」1879年

参考文献

木山竹治著　『松田道之』鳥取県教育会　1925年
『鳥取藩史』第一巻　鳥取県立図書館　1969年
青山霞村原著　住谷悦治校訂、田村敬男編集　『山本覚馬伝』　宮帯出版社　2013年　ISBN 978-4-86366-873-7
松沢裕作著　『町村合併から生まれた日本近代』講談社　2013年

関連項目

明六社

外部リンク

馬場義弘「初代滋賀県令松田道之の人物と思想」『滋賀大学教育学部紀要』第69号
『松田道之』 - コトバンク

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