松輪島

松輪島の概要

松輪島は千島列島の中部に位置するナス形の火山島で、ロシア名ではマトゥア島、英語表記はMatuaとされます。この島はアイヌ語の「モト・ア」に由来し、土着のアイヌ民族がかつてこの地に住んでいたことが影響しています。

地理的特徴

松輪島は北北東約30キロメートル、羅処和島から羅処和海峡を挟んだ位置にあり、北緯48度5分30秒、東経153度12分に位置しています。この島の長さは約11キロメートル、幅は約6.5キロメートル、面積は約52平方キロメートルです。島を構成する地形は主に山岳であり、北西部には2つの主要な山が存在しています。

芙蓉山

松輪島の最高峰である芙蓉山（別名：松輪富士）は、海抜1,496メートルで、千島列島の成層火山の中では最も美しいと言われています。1760年頃から数回にわたり噴火が確認されており、特に1946年の噴火は大規模で、火山弾やスコリアが山麓を覆いました。2009年にも大規模な噴火が発生し、その影響で航空路が閉鎖される事態となりました。

天蓋山

もう一つの山である天蓋山は海抜127メートルで、ロシアの国境警備隊の施設が設置され、過去には日本軍の司令部跡も残っています。また、山頂にはアンテナが設置されており、国の防衛に関連する施設となっています。

島の南部は比較的穏やかな地形で、海岸線には浜があります。東方には磐城島が存在し、その間の水域は「大和湾」と呼ばれ、停泊地としても利用されています。

気候

松輪島の気候は非常に冷涼で、特に夏季の涼しさが際立ちます。かつては気象庁がこの島の天候データを定期的に発表していました。

歴史

松輪島の歴史はアイヌ民族にまで遡ります。1700年には「もとわ」の名が記録され、1855年にはロシアの領土となりました。その後1875年に日本の領土となり、戦時中には旧日本海軍による飛行場の建設が行われました。しかし、1945年にソ連が参戦した際に占領され、以降ロシア連邦が実効支配をしています。日本政府は国際法に基づき、現在もこの地の帰属を主張しています。

1990年代まではロシアの国境警備隊が駐留し、気象通報の地点として機能していましたが、その後は無人島でした。2021年にはロシア連邦軍の基地が設置されるなど、軍事的な動きも見られます。2000年代以降、国際的な研究者が上陸したり、歴史的な航空機の発見があるなど、松輪島に対する関心は続いています。

関連項目

• - 島の一覧: 松輪島が掲載されています。
• - ヘリング (潜水艦): 第二次世界大戦中に松輪島の守備隊によって撃沈されたアメリカの潜水艦。
• - 松輪 (海防艦): 日本の海防艦の1隻で、松輪島にちなんで名付けられました。

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