芙蓉山

芙蓉山（ふようざん）

芙蓉山は、千島列島の松輪島にそびえ立つ標高1,496mの成層火山です。その秀麗な姿から「松輪富士」という別名を持ち、地元の人々に親しまれています。ロシア語ではサリチェフ山（влк.Сарычева）と呼ばれ、英語ではSarychev Peakと表記されます。

火山活動の特徴

芙蓉山は、島のほぼ中央に位置しており、岩質は玄武岩から安山岩で構成されています。千島列島の中でも特に活発な火山活動を誇り、過去に何度も噴火を繰り返しています。

過去の噴火記録

芙蓉山の噴火記録は、18世紀から現代に至るまで複数回確認されています。主な噴火としては、1760年頃、1878年から1879年、1923年、1930年、1946年、1960年、1976年、1981年、1987年、1989年、そして2009年が挙げられます。

特に1946年11月の噴火は大規模で、噴出した火山弾やスコリアが山頂火口から東山麓一帯を覆い、植生を完全に破壊しました。また、火砕流は北西海岸まで到達したと記録されています。

2009年6月から7月にかけて発生した噴火も大規模なものでした。特に6月13日には、噴煙が推定高度16km（54,000ft）にまで達し、その影響は広範囲に及びました。火山灰は、沿海州北部からサハリン、クリル列島に至る広大な範囲に拡散し、太平洋路線や北極回りの欧州路線を中心に航空機の運航に大きな遅延や欠航が生じました。また、島内には広範囲に火砕流が発生し、上空には大量の二酸化硫黄が放出されました。この噴火の様子は、国際宇宙ステーション（ISS）の乗組員によって宇宙から撮影され、その規模の大きさを物語っています。

芙蓉山の意義

芙蓉山は、その美しい姿だけでなく、活発な火山活動によって地球のダイナミックな活動を私たちに示唆しています。また、噴火による自然災害のリスクを認識させ、火山研究の重要性を訴えかけています。その美しい姿と活発な活動は、訪れる人々を魅了し続けています。

参考資料

サリチェフ火山の概説 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
Sarychev Peak - Smithsonian Institution: Global Volcanism Program

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