松野菊太郎

松野菊太郎の生涯と業績

松野菊太郎（まつの きくたろう、1868年2月16日 - 1952年1月25日）は、日本の牧師であり、ホーリネス運動の草分けとして知られています。彼は、日本における福音派の活動と教会運営において、重要な役割を果たしました。彼の生涯は、献身と信仰の表れとして記憶されています。

初期の人生と渡米

松野は1868年、甲斐国（現在の山梨県甲府市）に生まれました。明治18年（1885年）、東京商業学校に入学しましたが、すぐに中退し、青雲の志を抱き、明治21年（1888年）にアメリカに渡ります。サンフランシスコでの生活を経て、1890年に日本人福音教会寄宿舎の祈祷会に出席したことが転機となり、キリスト教への回心を果たします。同年、メソジスト教会のM・C・ハリスから洗礼を受けました。

伝道活動の開始

1891年、サンフランシスコで日本人のリバイバルを経験し、これをきっかけに伝道に身を投じる決意を固めました。1893年9月、アメリカで按手礼を受けた後、ハワイで伝道活動を行い、1894年に帰国しました。帰国後は、米国で知り合った笹尾鉄三郎、河辺貞吉らと共に「ちいさき群」を結成し、共同生活を送りながら東京で伝道を開始しました。

教会活動と社会奉仕

彼は新妻の栄子さんと共に、郷里でバプテスト宣教師J・C・ブラントを支援し、伝道を行った後、水戸でも活動しました。1900年には再び東京に戻り、伝道とともに貧困層への支援活動にも従事しました。1903年には東京伝道学校の教授に就任し、日露戦争の開始と同時に「黙示録略解」を執筆・出版します。

松野は1906年、小崎弘道と共に霊南坂教会の牧師に就任し、翌年からは麻布教会の牧師として37年間在任しました。在任中は、自給教会の設立に取り組みました。彼はまた、報恩会を組織し、貧しい結核患者への支援を行い、教会員から健康税を徴収して援助を行う仕組みを築きました。この取り組みは、後の音楽会や映画会などの催しに影響を与えました。

超教派活動とホーリネス運動

松野は、日本クリスチャン教会年会議長や東京YMCA監事などを歴任し、教派合同の実現に尽力しました。1933年のホーリネス分裂事件の際にも調停に関与し、1935年に行われた和協分離の会合に参加してスピーチを行い、教会の団結を促すメッセージを発信しました。

戦後の信仰と著作

戦後、松野は「君、僕主義」を提唱し、相手を尊重し自らをしもべとして立つことが、平和をもたらすと信じて広めました。著書には「基督教勘どころ」や「基督教梗概」があり、福音的信仰を説いています。
最晩年の松野は、教界の円滑な運営に貢献し続け、1952年に世田谷で83歳で逝去しました。彼の生涯は、信仰と奉仕の模範として、今でも多くの人々に影響を与えています。

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