ホーリネス運動

ホーリネス運動とは

ホーリネス運動（Holiness movement）は、キリスト教のプロテスタントの一派であり、特に聖潔を強調した教えを持つ運動です。この運動によって形成された様々な教派は、かつて「聖潔派」や「きよめ派」とも呼ばれていました。現在、ホーリネス運動は、多くのプロテスタント教派に影響を与え続けています。

概要

ホーリネス運動の核心的な教えは、「聖である状態」とは一つの純粋な心を持つことであり、これはジョン・ウェスレーによって提唱されました。彼は、聖なる心とはキリストの心を持つことであり、神の愛によって動機付けられた思いを抱くことと説明しています。この運動の支持者たちは、イエス・キリストの贖いを信じることで、原罪からの解放や、罪に対する傾向からの解放を聖霊によって体験できると信じています。特定のグループでは、「新生」「聖化」「神癒」「再臨」といった四つの要素を強調しており、これを「四重の福音」と呼んでいますが、神癒の位置づけについては教派によって異なる見解が存在します。

ルーツ

ホーリネス運動の起源には、宗教改革の教理、特に救いと恵み、信仰義認に強い影響があります。17世紀のピューリタンや、聖書の至上性を強調するフリー・チャーチ運動、さらには敬虔主義やフレンド派（クウェーカー）の内なる光の強調などが背景にありました。特に1730年頃のイングランドの福音主義リバイバル、その中で活躍したジョン・ウェスレーとチャールズ・ウェスレーの影響が大きいです。また、18世紀から19世紀にかけての大覚醒では個人の回心が強調され、ホーリネス運動の理念がさらに広まりました。

日本での展開

日本でのホーリネス運動は、1900年頃に始まりました。メソジストを脱退した中田重治が中心となり、最初のきよめ派組織「聖潔の友」が結成されました。1901年には、アメリカ人宣教師チャールズ・カウマンと中田重治の協力により、日本ホーリネス教会が設立され、神田で中央福音伝道館が開かれました。当初は教団を作る考えはありませんでしたが、組織の成長に伴い、1917年に「東洋宣教会ホーリネス教会」として正式に教団化されました。

ホーリネス運動の二つのタイプ

日本におけるホーリネス運動は、二つの主要なタイプに分かれます。1つは「トラディッショナル的ホーリネス」で、これは戦前の日本ホーリネス教会を中心として展開され、ウェスレーの教えを基にしたものです。瞬時的なきよめの体験を強調し、それが信仰生活の原動力となりました。

もう一つは「メソジスト的ホーリネス」です。これはメソジスト運動への回帰を願うもので、キリスト教信者の日常生活において、信仰の実践を重視しています。教派の枠を超えて広がりを見せるリバイバル運動もこの流れの一部といえます。

主な教団

ホーリネス運動に関連した主な教団には、イムマヌエル綜合伝道団や日本ホーリネス教団、日本イエス・キリスト教団などがあります。これらの団体は、それぞれ独自の教えや信仰を持ちながら、共通のホーリネス信仰を基にして活動しています。

結論

ホーリネス運動は、キリスト教の中で聖潔に焦点を当てる運動として広がりを見せ、多くの信者に影響を与えています。日本においても、メソジストの教えを基にした、独自の発展を遂げてきました。信仰の実践や個人の霊的成長を重視するホーリネス運動は、今後も多くの教会や信者に支持されていくことでしょう。

もう一度検索