析津府

析津府（せきしんふ）とは

析津府は、中国にかつて存在した府であり、おおよそ現在の北京市を中心とする地域に、遼代から金代にかけて設置されていました。その名の変遷とともに、行政区分や管轄地域も変化していきました。

遼代の南京析津府

938年、契丹によって幽州が南京に昇格し、幽都府と改められました。その後、1012年には幽都府が析津府と改称されています。この南京析津府は南京道に属し、析津県、宛平県、昌平県、良郷県、潞県、安次県、永清県、武清県、香河県、玉河県、漷陰県の11県と、順州、檀州、涿州、薊州、易州、景州の6州を管轄していました。この時代、析津府は現在の北京を中心とする広大な地域を統治する重要な拠点でした。

金代の大興府

1153年、金朝によって析津府は大興府と改称され、この地に中都が置かれました。大興府は中都路に属し、大興県、宛平県、昌平県、良郷県、安次県、永清県、武清県、香河県、宝坻県、漷陰県の10県と広陽鎮を管轄しました。府名が変わり、管轄する県の数も変化しましたが、依然としてこの地域における中心的な役割を担っていました。

元代の大都路

1284年、元朝により大興府は大都路総管府と改められました。大都路は中書省に属し、右警巡院、左警巡院と、大興県、宛平県、昌平県、良郷県、永清県、宝坻県などの直属の県に加え、涿州、覇州、通州、薊州、漷州に属する県と、順州、檀州、東安州、固安州を含めた10州22県を管轄していました。元代には、大都路として、さらに広範囲な地域を統括する行政機関となりました。

明代

1368年、明朝によって大都路は北平府と改められました。1370年には、北平に燕王朱棣の王府が置かれ、後の永楽帝の拠点となります。そして、1403年、北京に昇格するとともに、北平府は順天府と改称されました。このように、析津府から始まったこの地域の行政区画は、時代とともに変遷を遂げ、現在の北京へと繋がっています。

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