林下

林下（りんげ、りんか）／山林派（さんりんは）とは

林下（りんげ、りんか）または山林派（さんりんは）とは、中世以降の臨済宗を中心とする禅寺において、在野の寺院を指す呼称です。これは、京都において幕府の庇護と統制下にあった五山や十刹などの「禅林」または「叢林」の一派と対比される概念です。林下の寺院は、座禅修行に専心する厳しい禅風を特色とし、その独自の禅の精神を育んできました。

林下の特徴

林下の寺院は、五山のような権力構造に組み込まれることを避け、より純粋な禅の修行を追求しました。その結果、厳しい戒律や座禅の実践が重視され、禅僧たちは自己の内面と向き合うことに専念しました。この姿勢は、五山の華やかさや権威主義とは対照的であり、林下の寺院は禅の本質を追求する場として重要な役割を果たしました。

臨済宗大応派

林下の代表的な寺院としては、臨済宗大応派に属する大徳寺や妙心寺が挙げられます。これらの寺院は、独自の歴史と禅風を持っています。

大徳寺

大徳寺は、花園上皇が寄進し、宗峰妙超（大燈国師）が開山した寺院です。かつては後醍醐天皇によって五山に列せられたこともありましたが、南北朝分裂後に足利氏に従わなかったため、五山から外れることとなりました。その後、大徳寺は五山の気風を快く思わない禅僧たちが集まる場となり、林下の中心的な寺院としての地位を確立しました。

妙心寺

妙心寺は、宗峰妙超の弟子である関山慧玄が、花園上皇から離宮跡の寄進を受けて開いた寺院です。関山の禅は、師である宗峰妙超の禅よりもさらに厳格であり、やがて妙心寺も大徳寺の末寺として、大徳寺と同様の役割を果たすようになっていきました。妙心寺もまた、林下を代表する寺院として、その禅風を現代に伝えています。

大応派の禅

大徳寺と妙心寺の開祖に加え、それ以前の建長寺出身の南浦紹明（大応国師）らをまとめて大応派と呼びます。この三者の師号などから取られた「応・燈・関の一流」という言葉は、大応派の禅の精神を象徴するものとして知られています。大応派の禅は、厳しい修行を通じて自己を鍛え、悟りを開くことを目指すものです。

五山の衰退と林下の隆盛

応仁の乱以降、それまで栄えていた五山は次第に衰退し、その一方で、大応派の禅が地方へと広がっていきました。この背景には、五山の権威主義や形式主義に対する反発と、より純粋な禅を求める人々の思いがありました。林下の寺院は、そうした人々の受け皿となり、禅の精神を後世に伝える重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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