宗峰妙超

宗峰妙超（大燈国師）

宗峰妙超（しゅうほうみょうちょう）は、鎌倉時代末期に活躍した臨済宗の僧侶であり、一般には大燈国師（だいとうこくし）の名で広く知られています。その生涯は、禅の探求と普及に捧げられました。

生い立ちと修行

宗峰妙超は、播磨国（現在の兵庫県）の豪族・浦上氏の一族に生まれました。幼少期に天台宗を学んだ後、禅宗に傾倒し、鎌倉の高峰顕日や京都の南浦紹明（大応国師）に師事しました。南浦紹明が建長寺に移ると、宗峰も鎌倉へ移り、26歳で師から印可を得ました。その後約20年間、京都で乞食行に励み、厳しい修行を重ねました。峻烈な禅風のため、近づく人は少なかったと言われています。

大徳寺の開山

1315年（または1319年）、叔父である赤松則村の帰依を受け、洛北紫野に小堂「大徳庵」を建立しました。これが大徳寺の起源とされています。花園天皇も宗峰に深く帰依し、1325年には大徳寺を祈願所とする院宣を発しました。また、正中の宗論では融和を説き、事態を収拾しました。彼の門下からは関山慧玄のような優れた禅僧が輩出しています。

後醍醐天皇と浦上庄

1336年頃、後醍醐天皇から、宗峰ゆかりの地である播磨国浦上庄が、下総国葛西御厨の替地として大徳寺に寄進されました。宗峰は浦上庄の半分を自身の一族に分配することを申し出て、天皇もこれを承認。この結果、浦上為景とその一族は、後に赤松氏の被官として勢力を拡大し、室町時代から戦国時代にかけてこの地方で大きな影響力を持つようになりました。

晩年と死

1337年、宗峰は病に倒れましたが、花園法皇の求めに応じ、自身の後継者として弟子の関山慧玄を推薦しました。花園法皇が離宮を禅寺とする際、その山号寺号を正法山妙心寺と命名。1338年1月13日、宗峰は亡くなりました。妙心寺では、この年を開創の年とし、関山慧玄を開山としています。

人物像と禅風

宗峰の禅風は非常に厳格で、妥協を許さないものでした。自己の悟境を深く掘り下げることを重視し、唐代の禅風を理想としました。弟子を育成する際には、公案を自ら作成し、正面から禅の極みを打ち出すことを旨としました。彼から関山慧玄へと続く法系は「応灯関」と呼ばれ、現在の日本臨済宗の主流となっています。

文化的な功績

宗峰は能書家としても知られ、宋風の書を能くしました。その書風は後醍醐天皇にも影響を与えたとされています。彼の墨蹟は現在も高く評価され、国宝に指定されているものも複数あります。

逸話

宗峰はまくわ瓜を好んだという逸話があります。花園天皇が宗峰の居場所を知るために、乞食にまくわ瓜を無料で与えるという高札を立てた際、役人の「脚なくして来たれ」という問いに対し、乞食の一人が「無手で渡せ」と答えたため、宗峰であることが露見したという話は有名です。
また、花園天皇と初めて対面した際、「仏法不思議、王法と対坐す」と言う天皇に対し、「王法不思議、仏法と対坐す」と切り返した逸話も、宗峰の胆力を示すものとして語り継がれています。

宗峰の偈

宗峰が悟りを開いた際に詠んだとされる偈は、彼の禅の境地を示すものとして知られています。

一回透得雲關了　南北東西活路通　夕處朝遊沒賓主　脚頭脚底起淸風

> （意味：ひとたび雲門の関を通過して終わってしまえば、東西南北どこへでも自由自在である。そこには主客の区別もなく、迷いも悟りもない。足の先から頭のてっぺんまで、清浄な風が吹いている。）

著書

宗峰の著書には、『大灯国師語録』『仮名法語』『祥雲夜話』などがあります。これらの著作を通して、彼の禅の思想に触れることができます。

まとめ

宗峰妙超は、その厳格な禅風と優れた人格、文化的な才能により、後世に大きな影響を与えた禅僧です。彼の生涯は、禅の探求と普及、そして文化の発展に貢献したものであり、その遺産は今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

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