関山慧玄

関山慧玄（かんざん えげん）

関山慧玄は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した臨済宗の僧です。関山は彼の号であり、慧玄は諱です。花園上皇に招かれ、妙心寺の開山となりました。

生涯

信濃国（現在の長野県）の豪族、高梨氏の出身とされています。幼少の頃から仏道に親しみ、叔父である月谷宗忠に師事しました。その後、南浦紹[[明]]の弟子となり、鎌倉の建長寺で修行を重ねました。

建長寺では、物外可什や巨山志源などの禅僧にも師事し、禅の奥義を追求しました。その後、故郷に戻りますが、建長寺の開山である蘭渓道隆の五十回忌に出席するため再び鎌倉へ。そこで宗峰妙超（大燈国師）を紹介され、京都の大徳寺で師事することになります。

嘉暦4年（1329年）、関山は雲門の「関」の公案によって悟りを開き、宗峰妙超から関山の号を与えられます。さらに、慧眼という名前を慧玄に改め、翌年に印可を得ました。後醍醐天皇に禅を説くこともありましたが、晩年は美濃の伊深に草庵を結んで隠棲しました。

建武4年（1337年）、花園上皇が離宮を禅寺に改めるにあたり、宗峰妙超に関山を開山として推薦しました。これにより、康永元年（1342年）、関山は妙心寺の開山となり、厳格な禅風と質素な生活を貫き、禅の修行に専念しました。

関山は、弟子を厳しく指導し、形式に捉われない禅を説きました。後継者として授翁宗弼を育てましたが、妙心寺の伽藍整備や経営には関心を寄せませんでした。延文5年（1361年）、旅の支度をして、授翁に行脚に出ると告げ、井戸の傍で遺戒を授けて立ち往生しました。

関山の遺体は妙心寺の東北隅に葬られ、そこが後の開山堂微笑庵となっています。遺戒は授翁によって文章化され、「無相大師遺誡」として今日に伝えられています。

人物

関山は、他の高僧のような語録や著書を残さず、肖像画も生前には描かせませんでした。現在伝わる関山の肖像は、後世に作成されたものです。

南浦紹[[明]]から宗峰妙超、そして関山慧玄へと続く法系は「応灯関」と呼ばれ、現在、日本の臨済宗はこの法系に属しています。関山の禅は、後に白隠慧鶴によって大いに発展し、他の臨済宗諸派が衰退する中で、その法灯を今日に伝えています。

平成18年（2006年）には、妙心寺派の寺院から関山の肖像画が発見されましたが、生前に描かれたものかどうかは不明です。

逸話

ある時、関山は参禅に来た僧を追い返しました。僧が「生死の大事を質問しに来た」と訴えると、「慧玄のもとに生死はない」と言い放ち、棒で打ち据えて追い払ったという逸話が残されています。

また、明から渡来した隠元隆琦が妙心寺を訪れた際、関山が使っていた公案を聞いて身震いしたという逸話もあります。

辞典における記述

当時、花園大学教授であった加藤正俊氏によると、1988年に出版された国語辞典『大辞林』に「花園大学」と「関山慧玄」の項目が掲載されたことを喜び、「花園大学も関山慧玄もようやく公民権を得ることができた」と述べています。

脚注

* 出典:安田元久 編『鎌倉室町人名事典』 134頁 新人物往来社、1990年

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