林内閣

林内閣の概要

林内閣（はやしないかく）は、1937年2月2日から同年6月4日まで存在した日本の内閣です。この内閣は、軍事参議官であり予備役陸軍大将の林銑十郎が第33代内閣総理大臣に任命されて成立しました。

内閣の人事と構成

林内閣の発足にあたり、国務大臣として任命されたのは1937年2月2日で、その在職日数は123日でした。また、内閣書記官長・法制局長官についても同日から任命されましたが、政務次官や参与官といった役職には任命がなされませんでした。これにより、内閣は少数の閣僚に依存する形となり、「二人三脚内閣」と称されるようになりました。

政治的背景と発足

林内閣の成立は、前内閣である広田内閣が崩壊した後に、大命を受けた宇垣一成の組閣失敗を受けてのことです。宇垣は陸相としての時代に実施した大規模な軍縮（宇垣軍縮）が幕僚からの反発を招き、現役将官が陸軍大臣を推薦しないという抵抗に遭いました。これにより宇垣は内閣の樹立を断念し、次に林銑十郎が内閣を組織することと相成ります。

内閣の施策と動き

林内閣は、財界と軍部の調整を図るため、大蔵大臣に財界出身の結城豊太郎を起用し、内閣の財政は「軍財抱合」と評されることになります。また、祭政一致を掲げ、陸軍との連携を強化しました。柳内閣は多くの国務大臣を兼任させ、限られた人数による内閣での実力行使を図りましたが、その結果として政務官との関係を断ってしまい、議会との連携を断絶することとなります。

党派の支持と選挙

林内閣は貴族院からの支持を少し得ることができましたが、衆議院においては限られた議席しか持たず、政友会や民政党といった主要な政党とは良好な関係を築くことができませんでした。特に民政党などからは強い抵抗を受け、重要な法案の審議は引き延ばされ続けました。予算案は最終的に可決されるものの、その後すぐに衆議院の解散が行われ、これが「食い逃げ解散」として知られることになります。

短命の内閣へ

1940年4月、期待していた第20回総選挙の結果は望むものとはならず、林内閣を支える両党は議席を減らす結果となりました。それでも林は強気の姿勢を崩さず政権維持を宣言しましたが、結局、倒閣運動の勢いは強まり、5月31日に林は全閣僚の辞表を提出し、内閣は終息を迎えます。

評価

林内閣は、歴代内閣の中でも特に短命であり、その在任期間は123日と当時としては最短記録でした。短い任期の中で目立った業績も無く、逆に「史上最も無意味な内閣」と評されるほどの評価を受けました。また、林銑十郎の名に由来して「何もせんじゅうろう内閣」とも皮肉られました。この内閣は、日本の政治史において重要な教訓を提供しているとも言えるでしょう。

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