食い逃げ解散

食い逃げ解散（くいにげかいさん）

食い逃げ解散は、1937年3月31日に日本で実施された衆議院解散を指す通称です。この解散は、当時の林銑十郎内閣によるもので、政府の翼賛的でない政党の状況を考慮し、議会の刷新が求められた結果、実施されました。この解散は、政権が自らの支持基盤に不安を覚えたことを示唆しています。

経緯

昭和12年度の予算が可決されたことを受け、林内閣は議会の状況が政府に対して従順ではないと判断し、解散を決定しました。しかし、この決断に対し国民や政党からの反発が強く、特に「ご馳走」を食べ終わった後に解散するという行為は、食い逃げに例えられ厳しく批判されました。そのため、「食い逃げ解散」という言葉が生まれました。

1937年4月30日に行われた第20回衆議院議員総選挙では、与党側の昭和会と国民同盟が合わせて約40議席を確保する一方、野党の政友会や民政党が優勢に立ちました。この結果により、林内閣はその後も政権を維持しようと試みましたが、その姿勢はますます国民や政党の反感を買うことになります。

選挙後、林内閣に対して退陣を求める声が高まり、民政党や政友会、社会大衆党などが一斉に要求しました。それに対して、林首相は強気の姿勢を崩さず、5月15日の地方長官会議では政権維持を表明し、さらなる衆議院解散も示唆しました。しかし、与党側の態度も硬化し、倒閣運動が激化しました。

与党の望月圭介は林に対し、問題解決を要求し、林もその立場に窮しました。そして、5月31日に林内閣はついに総辞職に追い込まれました。

理由ナキ解散

食い逃げ解散を受けて、衆議院副議長の小泉又次郎は、解散の理由を政党に転嫁する試みについて批判しました。彼は「理由ナキ解散」とし、7分間にわたって林を激しく非難しました。この発言は、後に彼の孫である小泉純一郎首相が2005年に郵政民営化法案の否決を理由に解散を決定した際に再度注目され、マスコミでも取り上げられました。

関連項目

この歴史的な出来事は、議会のあり方や政党の責任についての重要な教訓を提供しています。食い逃げ解散という表現は、国民にとって不満を象徴するものとなり、議会や政党に対する視線を一層厳しくすることとなりました。議会解散の意味や時代背景も含めて、現在でも政治家にとって忘れてはならない教訓となっています。

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