林庭㭿

林庭㭿（りん ていこう）は、1472年から1541年にかけて明代を生きた官僚であり、学者としても名を残しました。字は利瞻、号は小泉と称しました。彼の本貫は福州府閩県にあり、林瀚の次男としてこの世に生を受けました。

1499年、林庭㭿は進士の試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。兵部主事に任命され、その後兵部職方郎中へと昇進しました。吏部尚書の張彩が彼を御史に任命しようとしましたが、林庭㭿はこれを固辞し、蘇州府知府として地方へと赴任しました。当時、蘇州府では連年のように洪水が発生していたため、林庭㭿は上奏し、織造の停止と頻繁な徴税の停止を求めました。その後、雲南左参政へと転任しました。1514年、高齢となった父の世話をするため、一度官職を辞して故郷に戻りました。

1519年に父が亡くなると、林庭㭿は喪に服しました。喪が明けた後、嘉靖初年に江西参政として再び官界に復帰しました。その後、湖広右布政使、左布政使を歴任し、その優れた統治能力が評価され、右副都御史に抜擢されました。保定諸府の巡撫として派遣された後、1529年には南京兵部右侍郎に転任しました。彼は、郊壇の工事や南城、西苑での相次ぐ建設工事を批判し、国家が率先して倹約に努めるべきだと主張しました。また、災害による被害を理由に、木材伐採や焼造に関わる役人を召還するよう訴えました。1532年3月には工部左侍郎に、1535年8月には工部尚書へと昇進しました。1536年11月には太子太保の位が加えられ、その功績は高く評価されました。

しかし、嘉靖帝が大規模な土木工事を始めた際、林庭㭿は皇帝の意向に沿った計画を提出しました。沙河行宮の建設命令が下ると、彼は天下の田賦を増税すべきだと進言したため、御史の桑喬や給事中の管見から弾劾を受けました。1537年、林庭㭿は官職を辞任し、故郷へと戻りました。1541年に70歳でこの世を去ると、少保の位が追贈され、諡号は康懿とされました。彼の著書には、『江西通志』37巻と『小泉稿』6巻があります。また、息子の林炫も進士に合格し、礼部主事を経て通政司参議となりました。

林庭㭿は、その生涯を通して、地方官として民政に尽力し、中央官僚としては国家財政の健全化に努めました。また、学者としての側面も持ち、後世に多くの著作を残しました。彼の生涯は、明代の官僚と文化人のあり方を示す上で、重要な事例と言えるでしょう。

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