林本源製糖

林本源製糖株式会社の歴史

林本源製糖株式会社は、日本の統治時代に台湾に設立された製糖企業で、台湾資本が重要な役割を果たしました。この会社は、台中州に位置し、地域の農業や経済に大きな影響を与えました。

創設の背景

台湾の裕福な商家である板橋林本源家は、日本による台湾支配の初期に、政治的混乱を避けるために約200万円から300万円の財産を上海の銀行に預けていました。1909年、台湾総督府と台湾銀行は、林家に台湾の産業への投資を促し、製糖業が発展する事を考慮して、効果的な説得を行いました。この結果、林家は同年6月15日に「林本源製糖合資会社」を設立しました。主に社長の林鶴寿、副社長の林爾嘉と林熊徴がこの会社の運営を担いました。

新たに設立されたこの会社は、台中州北斗郡渓州庄に750トンの生産能力を持つ分蜜糖製糖工場を建設し、1910年12月には竣工しました。同時に糖業の輸送のため、台中と渓州を結ぶ軽便鉄道を開通させ、後に台湾糖業鉄道の一部となりました。

設立初期の苦難

設立時の資本金は200万円で、台湾銀行と三井物産からの借入があったため、資金面での課題がありました。土地の買収に関しても、多くの苦労がありました。台湾総督府は売却を強制するために、警察の権力を行使して購入を促すという厳しい手段を講じました。この強制的な土地取得は多くの反発を引き起こし、強い非難の声が上がる中、当時の民政長官の大島久満次は責任を取って辞職する事態にまで至ります。

工場が竣工した直後の1910年から1911年には、大水害という自然災害が続き、経済的な困難に直面しました。資金調達が難しくなり、最終的には台湾銀行の監督のもと株式会社に改組することとなります。

農民運動への影響

林本源製糖株式会社は、台湾農民運動の出発点であるとされる二林事件の中心的存在でもあり、経済的利益だけでなく、社会的な影響も与えました。これにより、台湾の歴史における重要な位置を占めることになりました。

買収と解散

1927年には、塩水港製糖株式会社に買収され、林本源製糖の歴史は幕を閉じます。この企業の設立と運営は、台湾の製糖業における重要な一章を築き上げ、その後の産業発展に寄与したと言えるでしょう。林本源製糖株式会社の存在は、台湾の経済的な変遷を理解する上で欠かせない要素となっています。

もう一度検索