大島久満次

大島 久満次（おおしま くまじ）

大島久満次は、1865年12月10日、尾張国に生まれる。彼は豪農である永井匡威の五男として誕生し、後に一等警視であった大島正人の養子となった。1888年に東京帝国大学の法科大学を卒業後、衆議院書記官に就任し、法律や政治の世界でのキャリアをスタートさせた。

初期の経歴

明治22年5月には高等試験に合格し、法制局参事官試補となり、その後すぐに法制局参事官としての職務を担うようになる。1894年に姓を大島に改め、1896年には台湾総督府に転任し、民政局参事官、製薬所長、警視総長、総務局長など多くの役職を歴任した。この時期の大島は、同じく法制局出身の石塚英蔵と共に反後藤新平派の高官として政権の中枢に位置していた。

台湾総督府での役職

彼は台湾総督府における文官の中でも重要なポジションにあり、反後藤派のリーダー的存在として知られた。後藤新平が南満州鉄道総裁に就任した際、大島は台湾総督府から移されることを危惧され、後藤の意向に反してその職にとどまることができた。1908年5月、大島は台湾総督府民政長官に任命され、鉄道部長も兼務することとなる。しかし、1910年には第2次桂内閣の一員として逓信大臣に就任した後藤によって更迭されることとなった。

神奈川県知事としての活躍

1912年1月、大島は神奈川県知事に任命され、そこでの政治活動に乗り出す。神奈川県では、当時の憲政会と立憲政友会の対立が激しく、大島は自身の政党である立憲政友会と共に非常に多くの困難に直面した。特に、横浜市における政争では、原敬との強い連携を持ちつつも県会との対立が続いた。1914年4月には第2次大隈内閣の成立に伴い知事職を解任された。

議員としての活動

政界から退いた後も、大島は1915年の衆議院議員総選挙において愛知県郡部区から立憲政友会を代表して立候補し、見事当選を果たす。その後も1917年には再選を果たしたが、残念ながらその在職中に病没してしまった。

栄典と家族

大島は、1906年に勲三等旭日中綬章を受章しており、政治家としての地位と貢献が評価されたことを示している。彼の家族には、内務官僚であった阪本釤之助や著名な作家の永井荷風がいるなど、政治や文学の世界で影響力を持つ親族が多く存在した。大島の子である大島一雄は長唄の師匠として知られ、その後の世代にも多くの影響を与えた。

まとめ

大島久満次は、台湾総督府の幹部としての活動や神奈川県知事、さらには衆議院議員としてのキャリアを通じて、日本の政治史に名を刻んだ重要な人物である。彼の業績は、当時の日本における政治的対立や官僚制度の変遷を考える上で不可欠である。

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