林燫

林燫（りん れん、1524年 - 1580年）は、明代に活躍した官僚であり、学者としても名を馳せました。字は貞烜（ていけん）、号は対山（たいざん）と称しました。本貫は福州府閩県であり、弟に林烴（りん けい）がいます。

生涯

林燫は、林庭機（りん ていき）の長男としてこの世に生を受けました。1547年（嘉靖26年）には進士に及第し、その才能を認められて翰林院庶吉士に任じられました。その後も順調にキャリアを重ね、1549年（嘉靖28年）には翰林院検討へと進みました。

1552年（嘉靖31年）には、景王（けいおう）朱載圳（しゅ さいしん）が景王邸に入ると、林燫はその侍講（じこう）という重要な役目を命じられました。これは、彼の学識と人柄が朝廷から高く評価されていた証拠と言えるでしょう。1558年（嘉靖37年）には、翰林院修撰（しゅうさん）に進み、その才能をさらに開花させました。

嘉靖帝の治世末期には、林燫は国子祭酒（こくしさいしゅ）という要職に就きました。彼の家系は、祖父の林瀚（りん かん）、父の林庭機と、三代にわたって祭酒を輩出したという、他に類を見ない名門でした。1567年（隆慶元年）4月には太常寺卿（たいじょうじけい）の位を加えられ、その翌月には礼部右侍郎（れいぶうじろう）に抜擢されました。この時、彼は辺境防備に関する七つの重要な提言を上書しました。その後、吏部右侍郎（りぶうじろう）に転じました。

1568年（隆慶2年）2月には、南京吏部右侍郎（なんきりぶうじろう）として地方へ赴任し、礼部の事務を代行しました。1573年（万暦元年）には、南京工部尚書（なんきこうぶしょうしょ）に進み、その後、南京礼部尚書（なんきれいぶしょうしょ）に転じました。しかし、母の逝去に際して、林燫は官職を辞して喪に服しました。喪が明けた後、彼は隠居していた父のそばで身の回りの世話をし、孝養を尽くしました。1580年（万暦8年）6月癸丑（きすい）、父に先立ってこの世を去りました。享年は57歳でした。

彼の死後、太子少保（たいししょうほ）の位が追贈され、諡（おくりな）は文恪（ぶんかく）とされました。著書には、『福州府志（ふくしゅうふし）』36巻と『文集』16巻がありました。子には林世勤（りん せいきん）がいました。

林燫は、その生涯を通じて、明朝の官僚として、また学者として、多大な功績を残しました。彼の業績は、後世にまで語り継がれることでしょう。

参考文献

* 『明史』巻163 列伝第51

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