林義雄 (台湾)

林義雄（りん ぎゆう、1941年8月24日 - ）は、台湾の政治家であり、民主進歩党（民進党）の創立メンバーの一人として知られています。彼は、民進党の元主席も務め、台湾の民主化運動において重要な役割を果たしました。

生い立ちと弁護士活動

1941年、日本統治時代の台湾、羅東郡五結庄（現在の宜蘭県五結郷）に生まれた林義雄は、宜蘭中学（現在の国立宜蘭高級中学）を卒業後、国立台湾大学に進学しました。1964年には同大学の法律学部を卒業し、1966年から弁護士としてのキャリアをスタートさせました。弁護士として活動する中で、社会正義への強い関心を持つようになり、これが後の政治活動への転身へと繋がります。

政治活動への参加

1975年、林義雄は、同じく弁護士であった姚嘉文と共に、宜蘭の「党外」勢力であった郭雨新の選挙訴訟を担当しました。この経験が、彼の政治活動への入り口となりました。1977年には、郭雨新の地盤を引き継ぎ、台湾省議員に当選。政治家としての第一歩を踏み出しました。

しかし、1979年12月には、美麗島事件に関与したとして投獄されるという試練に見舞われます。さらに、1980年2月28日には、自宅で母親と双子の娘が殺害され、長女が重傷を負うという「林宅血案」が発生します。この事件は未解決のまま、林義雄にとって大きな悲しみと深い傷跡を残しました。

ハーバード大学留学と帰国後の活動

1984年に仮釈放された林義雄は、妻と共にハーバード大学大学院へ留学し、1987年に行政学修士号を取得。その後、1989年に台湾へ帰国しました。帰国後、彼は1991年に「慈林教育基金会」を設立し、社会運動の人材育成に力を注ぎました。また、反原発運動団体「核四公投（第四原子力発電所国民投票法案）促進会」を発足させ、台湾全土を徒歩で縦断する「第四原発国民投票千里苦行」運動を三度も実施するなど、社会運動家としても精力的に活動しました。

民進党主席就任と政権交代

1998年7月18日、林義雄は民進党の第8代主席に就任しました。彼の主席在任中に行われた2000年の総統選挙では、民進党の陳水扁が勝利し、台湾史上初の政権交代を実現しました。しかし、その一ヶ月後の同年4月20日、林義雄は主席を退任しました。

2001年には、停止されていた第四原発の工事が再開されたことを受け、民進党顧問を辞任。「第四原発を巡る争議で自分に恥じるべき点はないが、連帯責任を負わねばならない」という言葉は、彼の責任感の強さを物語っています。

その後の政治活動と離党

2002年には、核四公投促進会を率いて全島に「誠信立国」を呼びかけ、国会議員の半減改革、第四原発国民投票、公民投票による立法運動を主張し、2004年の総統選挙に介入すべく政治活動を展開しました。2004年には、国会議員半減改革を実現させるため、立法院前で座り込みを行うなど、精力的に活動を続けました。この結果、同年8月には立法院で国会改革憲法修正案が全会一致で可決されました。

しかし、2006年1月24日には、「永遠に民主国家の主人であるために」という言葉を遺し、民進党を離党しました。これは、彼が民進党に失望し、政党に縛られない、国民の立場を尊重するという強い信念を示したものでした。

民進党応援活動とハンガーストライキ

2008年、国民党が立法院で多数議席を占める状況下、林義雄は民進党の応援活動を開始。2009年の県市三合一選挙では、民進党候補者の応援に尽力し、林聡賢の宜蘭県知事当選に貢献しました。

2014年には、第四原発の廃止を訴え、無期限ハンガーストライキを決行。この行動は、彼の強い信念と社会への強い責任感を示すものでした。

林義雄の言葉

林義雄は、数々の名言を残しています。

「挫折は人生に常にある。重要なのは、自分の弱さや誤りに立ち向かい、反省と検討をする能力があるかどうかだ。」
「一般民衆は、政党を支持したり放棄したりする権利を持つべきだ。政党は一時的な支持者を持つことができれば十分で、永久党員を持つ必要はない。」
* 「『犬の糞』という名前でさえなければ、どのような名前で国連に加入しても問題ではない。」

これらの言葉は、彼の政治哲学、社会への姿勢、そして台湾への深い愛情を象徴しています。

まとめ

林義雄は、台湾の民主化運動、社会改革、そして環境問題に深く関わってきた政治家です。弁護士から政治家へ転身し、民主進歩党の創立に貢献、党主席も務めました。彼は、数々の困難に立ち向かいながら、その不屈の精神で社会に大きな影響を与え続けています。林義雄の行動と信念は、台湾の民主主義の発展に不可欠なものであり、今後の台湾社会にも大きな影響を与え続けるでしょう。

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