林胡

林胡（りんこ）

林胡（りんこ）は、古代中国の北方、森林地帯に居住していた遊牧民族です。林人（りんじん）、儋林（たんりん）とも呼ばれました。

歴史

周代から戦国時代

周代から戦国時代にかけて、林胡は楼煩（ろうはん）と並び、主要な北方遊牧民族として知られていました。彼らは主に現在の山西省北部にあたる地域で活動し、南方の晋（しん）と接していました。

晋との関係

晋の文公（ぶんこう）の時代、林胡は楼煩と共に晋の北方に勢力を拡大しました。その後、東へ移動し、現在の河北省北部に位置する燕（えん）の北方へと進出しました。

趙による征服

趙（ちょう）の武霊王（ぶれいおう）の時代になると、趙は軍事力を強化し、北方の林胡と楼煩を打ち破りました。趙は conquered territoryに雲中（うんちゅう）、雁門（がんもん）、代（だい）の3郡を設置し、林胡はオルドス地方東部へと追いやられました。さらにその後、趙の名将である李牧（りぼく）によって敗北を喫し、林胡の単于（ぜんう）（君主）は逃亡しました。この敗北を機に、林胡は歴史の表舞台から姿を消すこととなりました。

後世への影響

唐代の詩人、張謂（ちょうい）の詩『同孫構免官後登薊楼（そんこうのめんかんごにけいろうにのぼるにおなじくす）』には、「猶希虜塵動，更取林胡帳（外敵の動きが盛んならば、林胡の天幕を取って手柄としたいもの）」という一節があり、後代にも林胡の名が言及されることがありました。これは、林胡がかつて中国北方に大きな影響力を持っていたことの証左と言えるでしょう。

現代の研究

清代の記録に残る兀者（こつしゃ）は、林胡の後裔であるという説があります。これは、林胡の民族的ルーツや文化が、完全に消滅したわけではない可能性を示唆しています。

林胡は、その興亡の歴史を通じて、中国北方の政治・軍事情勢に大きな影響を与えました。彼らの存在は、中国と北方民族との関係を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

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