楼煩

楼煩（ろうはん）とは

楼煩（ろうはん、拼音：Lóufán）は、古代に現在の中国山西省北部からオルドス地方にかけて存在した遊牧民の国家、または民族の名称です。彼らは主に遊牧を生業としており、周辺地域に影響力を持っていました。

歴史

周代から春秋時代

楼煩は周王朝に服属し、貢物も納めていました。春秋時代になると、晋の北方に居住し、林胡などとともに戎とみなされ、多くの部族に分かれて存在していました。

戦国時代

戦国時代初期、趙の武霊王が胡服騎射を取り入れた軍事改革を行い、楼煩国を打ち破りました。これにより、楼煩の人々は北へ追いやられ、趙や燕に服属することになります。趙は楼煩の故地を領有し、新たに雁門郡を設置しました。

匈奴との関係

冒頓単于の時代、楼煩は東胡とともに匈奴によって破られ、その部族は匈奴に併合されました。これにより、匈奴はオルドス地方を支配下に置くことになります。楼煩は匈奴の勢力拡大の過程で吸収されていったと考えられます。

楚漢戦争時代

楚漢戦争の時代には、劉邦の陣営に楼煩出身の武将がいたという記録が残っています。ただし、当時の記録には、騎射に長けた者を指して「楼煩」と呼ぶ慣習があったとも考えられており、必ずしも民族としての楼煩に限定されるものではない可能性もあります。

漢代

紀元前127年、前漢の武将である衛青が、匈奴の楼煩王および白羊王を破り、オルドス地方を奪還し、朔方郡を設置しました。漢の時代には、楼煩県は雁門関の外に位置していましたが、晋代には現在の山西省忻州市原平市に移されました。その後、隋唐時代には楼煩郡が置かれました。

遺跡

現在の山西省太原市婁煩県馬家荘郷新城村皇帝峁には、春秋時代の楼煩国の首都の遺跡である婁煩古城遺跡が現存しています。この遺跡は、楼煩の文化や生活様式を研究する上で重要な手がかりとなっています。

楼煩は、その後の歴史の中で様々な勢力に吸収され、その名前は次第に歴史から姿を消していきました。しかし、彼らの残した足跡は、遺跡や歴史書の中に今もなお残されています。

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