林若樹

林 若樹とは

林若樹（はやし わかき、1875年1月16日 - 1938年7月12日）は、明治時代から昭和の初めにかけて著名な収集家として知られています。彼の本名は若吉であり、父は林研海で、叔父には松本良順がいます。

生い立ちと教育

東京府東京市麹町区に生まれた林は、幼少期に両親を亡くし、その後は叔父の林董に育てられました。祖父の林洞海から初めての教育を受けましたが、体が弱かったため、旧制第一高等学校を中退しました。学校を離れた後、彼は東京帝国大学教授の坪井正五郎が指導している研究所に通い、考古学の知識を深めました。このような背景は、彼の後の収集活動に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

文化活動と収集活動

林若樹は、家からの遺産により、正式な職に就くことなく、多様な文化活動に従事しました。彼は大蔵流の狂言を学ぶために山本東次郎を師として稽古を重ね、さらに狂歌や俳諧、書画といったアートにも親しみました。また、単なる古書だけでなく、さまざまな考古物の収集にも力を注いでいました。

1896年には同好者たちと共に「集古会」を結成し、幹事として雑誌『集古』の編纂を手掛けました。この雑誌を通じて、彼は自らの論考を発表し、広く文人たちとの交流を深めました。また『彗星』や『日本及日本人』など、他の雑誌にも貢献し、多彩なテーマについて執筆を行いました。

1909年には「大供会」を結成し、特に人形や玩具に関する知識を交換する機会を設けました。自身の収集品を展覧会で発表し、さらなる交流を図りました。また、「其角研究」を立ち上げ、正岡子規の門下生たちと共に俳諧の研究にも取り組みました。

林は、集古会や大供会を通じて、多くの著名な文人たちと関係を築きました。大槻如電、大槻文彦兄弟、西澤仙湖、根岸武香など、多くの人々との積極的な交流は、彼の活動の一環であり、彼の論考にも多様な視点をもたらしたことでしょう。

最晩年

64歳で生涯を閉じると、林は谷中霊園に埋葬されました。父の墓のすぐ隣に横たわり、戒名は「天嶽院白雲若樹居士」です。

著作物

彼の著作には、1942年に出版された『集古随筆』や、1983年に森銑三が編纂した『林若樹集』などがあります。これらの著作を通じて、彼の独特の視点と収集した品々に関する知見を後世に伝えています。

総括

林若樹は、彼の活動を通じて日本文化の発展に寄与した重要な人物といえるでしょう。文化人との連携や彼自身の幅広い興味は、彼の収集活動や執筆に強く影響を与え、長い間記憶される存在となっています。

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