根岸武香

根岸武香

根岸武香（ねぎし たけか、天保10年5月15日（1839年6月25日） - 明治35年（1902年）12月3日）は、武蔵国大里郡冑山村（現在の埼玉県熊谷市）出身の政治家であり、郷土史家としても知られています。幼名は新吉、後に伴七と改名しました。父は根岸友山。孫である根岸憲助の妻は横川重次の妹であり、娘の岳父は雨宮敬次郎という家系です。

略歴

根岸武香は、剣道を千葉周作に、和漢学を寺門静軒や安藤野雁に学びました。明治12年（1879年）に埼玉県会が開設されると、議員に選出され副議長に就任。明治13年（1880年）から14年（1881年）までと、明治23年（1890年）から25年（1892年）までの2度、埼玉県会議長を務めました。明治27年（1894年）10月10日には、補欠選挙で貴族院多額納税者議員に選出され、明治30年（1897年）9月28日までその任を務めました。その他、埼玉農工銀行などの監査役も務めています。

考古学や歴史学にも深い知識を持ち、坪井正五郎らと親交を深めました。吉見百穴の発掘に参加し、その保存に尽力するとともに、その価値を世に広く紹介しました。さらに、埼玉県内の出土品を帝室博物館に委託する事業も行っています。また、1931年には自身が収集した書籍類を「冑山文庫」として帝国図書館（現在の国立国会図書館）に寄贈しました。

明治17年（1884年）には、江戸幕府が編纂した『新編武蔵風土記稿』を出版し、発行人として刊行に尽力しました。この書籍は、武蔵国の地誌として貴重な資料であり、根岸武香の功績の一つとして挙げられます。

明治35年（1902年）、東京湯島の別邸で64歳で死去しました。

大正元年（1912年）、その功績が認められ、正五位を追贈されました。

根岸武香は、地方自治の発展に貢献した政治家であるとともに、郷土の歴史や文化を大切にし、後世に伝えることに尽力した人物でした。彼の活動は、現代においても高く評価されています。

参考文献

衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
根岸友山・武香顕彰会 編『根岸友山・武香の軌跡：幕末維新から明治へ』さきたま出版会、2006年。ISBN 4878913762。

関連項目

* 日本の郷土史家一覧

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