柳ヶ瀬線

柳ヶ瀬線の概要

柳ヶ瀬線（やながせせん）は、かつて滋賀県伊香郡木之本町（現在の長浜市）の木ノ本駅から福井県敦賀市の敦賀駅を結んでいた国有鉄道の鉄道路線です。この路線は北陸本線の一部として開業しましたが、その後の経路変更に伴い、地域輸送用の支線として残されることになりました。柳ヶ瀬線の路線距離は26.1kmで、全線が単線であり、非電化区間です。駅数は7駅（起終点を含む）と1信号場があります。

歴史の概観

古代からの交通の課題

近江盆地と若狭、越前を結ぶ交通路は古くから重要であったものの、周囲を山脈に囲まれ、厳しい豪雪に悩まされるため、陸路での移動は難しく、海上輸送に依存せざるを得ませんでした。この問題を乗り越える手段として、鉄道の敷設が選ばれました。

開業までの過程

中山道の幹線工事が進む中、1876年には敦賀までの鉄道延伸計画が提案され、1890年に柳ヶ瀬経由での路線変更案が認可されました。この変更は勾配がより緩やかであったことや、沿線の宿場町の需要が見込まれたためです。雁ヶ谷と刀根村の間には日本初のダイナマイトを使用したトンネルが掘られ、この柳ヶ瀬トンネルは後に技術的な制約を抱えることとなります。

開業とその後の運行

柳ヶ瀬線は1882年に開業しましたが、開業後は多くの事故やトンネル内での立ち往生に悩まされました。特に、トンネル内で機関士や乗客が窒息するケースが頻繁に発生しました。これを受け、集煙装置や重油併燃装置、運転室換気装置などの技術的な改善が図られました。

発展と課題

柳ヶ瀬線はその後も地域の交通手段として機能しましたが、利用者数の減少や経営赤字が問題となり、1964年に全線が廃止されました。廃止後、国鉄バスに転換されたものの、利用者の減少は続き、最終的には地元のコミュニティバスに移行することになりました。

現在の状況

現在、かつての柳ヶ瀬線のトンネルは一般道路として利用されています。国鉄バスからの転換後も地域の交通に寄与していますが、沿線地域の過疎化が進んでいることが課題です。かつての鉄道の痕跡は今も残っており、いくつかの駅跡やトンネルが訪れる人々に歴史を思い起こさせます。

このように柳ヶ瀬線は、地域輸送の役割を担っていた重要な路線であったが、様々な環境要因や技術の変遷により、その運命を変えざるを得なかったのです。

もう一度検索