柳家蝠丸

柳家蝠丸について

概要

柳家蝠丸（やなぎや ふくまる）は、東京都を拠点に活躍する落語家の名跡であり、現在は二代目がその名を受け継いでいます。落語の芸術とともに、新作落語の創作や社会風刺を特徴としたスタイルにより、今なお多くの人々に支持されています。

初代 柳家 蝠丸

初代柳家蝠丸は1883年頃に生まれ、1943年に亡くなりました。本名は関口由三郎で、享年61歳での死去となりましたが、その正確な生年月日は不明です。彼は群馬県館林市に生まれ、小学校には短期間しか通わず、早くから働き始めました。最初は八百屋に奉公し、その後米屋に転職するものの、長続きはしなかったようです。

1907年に三代目柳家小さんに弟子入りし、柳家小よしという名前を名乗ります。1917年には初代「柳家蝠丸」を名乗るようになり、関東大震災を挟みながら中立会や東西会などで活躍しました。彼は社会風刺を込めた新作落語を得意とし、現在でも演じられている「女給の文」や「電車風景」などの作品を創作しました。また、落語壇では奇人変人として知られており、個性的な存在感を放っていました。

彼の晩年は酒の影響により体調を崩し、最終的には1943年に脳溢血で急死しました。彼の戒名は「慈眼院誠心由然居士」で、青山一丁目の玉窓寺に埋葬されています。生前の友人によると、彼は年齢をごまかしていた可能性があり、公式には1886年生まれとされていますが、実際にはそれ以前の可能性も指摘されています。

二代目 柳家 蝠丸

二代目柳家蝠丸は1954年に青森県むつ市で生まれました。本名は中島俊一で、現在も落語芸術協会に所属し活躍しています。彼が落語の道に入ったのは小学校5年生のときに、二代目桂伸治の大ファンだったことがきっかけです。田名部高校を卒業後、1973年に桂伸治に弟子入りし、前座名「桂なか治」を名乗ります。

その後、1977年に二ツ目に昇進し「四代目柳家小蝠」を襲名し、1982年には第11回NHK新人落語コンクールで最優秀賞を受賞。1988年には真打昇進を果たし、「二代目柳家蝠丸」として新たなスタートを切りました。

彼は長身でヒョロッとした体型と大きな目が特徴で、先代の息子である十代目桂文治からの推薦で、蝠丸の名跡を名乗ることになったと言われています。特に、毎年7月中席の浅草演芸ホールで行う怪談噺では、幽霊の面をつけて観客を楽しませるスタイルが定番となっています。

しかし、2019年7月には寄席での口演中に舞台から転落し、足を骨折する事故に遭い、長期療養を余儀なくされました。

まとめ

柳家蝠丸は、初代から続く落語の名跡として、深い伝統と革新が共存する魅力を持っています。初代の名作は今でも多くの人々に楽しまれており、二代目はその名を受け継ぎながら、現代の落語界に新たな風を吹き込んでいます。

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