柳惔

柳惔（りゅう たん）

柳惔（462年 - 507年）は、南朝斉から梁にかけての官僚・軍人であり、字は文通と称しました。河東郡解県を本貫とし、兄に柳悦、弟に柳惲・柳憕・柳忱がいました。

生涯

柳惔は柳世隆（柳元景の弟である柳叔宗の子）の次男として生まれました。幼い頃から学問を好み、文章に優れており、音楽にも詳しかったとされています。兄の柳悦とともに「柳氏二龍」と称されるほどの才能を持っていました。

昇明3年（479年）、蕭賾（後の斉の武帝）が中軍大将軍となると、柳惔はその下で参軍に任じられ、後に主簿に転じました。斉が建国されると、尚書三公郎として朝廷に入り、太子中舎人に累進し、巴東王蕭子響の王友となりました。蕭子響が荊州に赴任する際にはこれに従いましたが、蕭子響が軽率な人物たちと親しくしているのを見て、柳惔は災いが降りかかることを予見し、病気を理由に建康へ帰りました。その後、中書侍郎・中護軍長史を歴任し、新安郡太守として赴任しましたが、目立った治績を挙げることができずに罷免され、帰郷しました。その後、右軍諮議参軍事となりました。

永元元年（499年）4月、西戎校尉・梁南秦二州刺史に任じられました。永元2年（500年）に蕭衍が挙兵すると、柳惔も漢中でこれに呼応して兵を挙げました。中興元年（501年）3月、和帝が即位すると、柳惔は益寧二州刺史に任じられ、侍中となり、前軍将軍を兼任しました。天監元年（502年）4月、蕭衍が梁の武帝として即位すると、柳惔は護軍将軍として召されましたが、これを受けずに太子詹事に転じ、散騎常侍の位を加えられました。建国の功績により曲江県侯に封じられました。天監3年（504年）1月には尚書右僕射に転じました。

天監4年（505年）には、北伐が行われる際に臨川王蕭宏が都督として軍を率い、柳惔がこれを補佐しました。軍が帰還すると、再び僕射に復帰しました。天監6年（507年）6月、金紫光禄大夫に転じ、散騎常侍の位を加えられ、使持節・安南将軍・湘州刺史として赴任しました。しかし、その年の10月に湘州で亡くなりました。享年は46歳でした。死後、侍中・撫軍将軍の位が追贈され、諡は穆とされました。著書として『仁政伝』や多くの詩賦を残しました。

子女

柳昭：曲江県侯を継ぎ、中書郎となった。
柳明：柳裘の父。
柳暉：柳䛒の父。
柳映

伝記資料

『梁書』巻12 列伝第6
『南史』巻38 列伝第28

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