柳楢悦

柳 楢悦（やなぎ ならよし）

柳楢悦は、明治時代の日本において重要な役割を果たした海軍軍人、数学者、測量学者、政治家であり、最終的には海軍少将に昇進しました。江戸の安濃津藩下屋敷で誕生した彼は、幼少期から和算に親しみ、特に数学と測量に関する知識を深めていきました。

生涯の歩み

柳は、1846年に和算家の村田恒光に入門し、学問の道に進みました。その後、1860年代には測量を手がけ、特に伊勢湾沿岸の測量を指揮した経験があります。明治2年からはイギリス海軍測量船シルヴィア号の指導を受け、日本の沿岸および港の測量に努め、詳細な海図の作成を行ったことから、「日本水路測量の父」と称されています。

明治3年に海軍に出仕し、数々の要職を歴任しました。特に、明治9年には水路局長に就任し、日本初の数学に関する学会である東京数学会社を設立するなど、多方面で活躍しました。また、天文台の視察のために欧米を訪れ、その知識を日本に持ち帰るなど、国際的な視野を持った人物でもありました。

政治活動

柳は、明治21年に元老院議官、続いて明治23年には貴族院議員に就任し、政治活動にも積極的に関与しました。これらの活動を通じて、彼は日本の近代化に寄与し、科学技術の発展を推進する一翼を担いました。
また、大日本水産会の創立にも関与し、水産業の発展に寄与しました。

栄典と功績

柳楢悦はその功績が認められ、様々な位階や勲章を授与されました。特に、明治24年には正三位を賜りました。また、勲四等から勲二等までの旭日章を受けており、長年にわたる功績が評価されています。

美食家としての活動

柳は数学者や海軍軍人としてだけでなく、美食家としても知られています。美食に関する研究会を立ち上げ、食文化の発展にも貢献しました。彼が没後刊行された著作『山陰落栗』は、食に関する事例を多く記録した貴重な資料として評価されています。

著作

彼の著書には、海洋測量や和算に関するものが多く、『航海或問』や『量地括要』などが知られています。これらの著作は、彼の知識と技術、そして測量学における先駆的な業績を後世に伝えるものとなっています。

親族

柳楢悦の家族には、三男の柳宗悦がいます。彼は著名な美術評論家であり、その子孫たちも美術やデザインの分野で名を馳せています。特に、プロダクトデザイナーの柳宗理や美術史家の柳宗玄などは、彼の血統を受け継ぎ、多彩な分野で活躍しています。

結び

1891年、肺炎により亡くなった柳楢悦は青山霊園に埋葬され、彼の残した業績と影響は今も日本の科学と文化において重要な位置を占めています。彼の偉業を振り返ることは、日本近代化の過程を理解する上でも非常に意義深いことでしょう。

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