柴宗訓

柴宗訓：後周最後の皇帝、恭帝

柴宗訓（さい そうくん）は、五代後周の第3代皇帝であり、後世の史家からは恭帝（きょうてい）と称されています。趙匡胤（後の宋の太祖）に帝位を禅譲した後、鄭王（ていおう）に封じられ、その生涯を全うしました。

生涯

柴宗訓は、父である柴栄（さい えい）が節度使を務めていた澶州（せんしゅう、現在の河南省濮陽市）で生まれました。兄である越王（えつおう）柴宗誼（さい そうぎ）らが北漢によって殺害されたため、事実上、後継者としての地位を確立しました。父の即位に伴い梁王（りょうおう）に封じられますが、わずか7歳で父帝の崩御により皇帝に即位します。幼少であったため、皇太后である符氏（ふし、小符皇后、後に周太后と呼ばれる）が政務を執り、范質（はんしつ）・王溥（おうふ）・趙匡胤らがこれを補佐しました。

顕徳7年（960年）正月、柴栄の死を知った遼と北漢の連合軍が南下し、後周に侵攻を開始しました。皇太后らは趙匡胤に迎撃を命じます。しかし、首都開封（かいほう）の東北に位置する陳橋駅（ちんきょうえき）において、幼帝の将来に不安を抱いた軍人たちが反乱を起こし、趙匡胤を皇帝として擁立し、開封を占拠しました。これにより、柴宗訓は帝位を禅譲し、趙匡胤は宋王朝を開くこととなりました（陳橋の変）。

趙匡胤（太祖）は、柴宗訓を鄭王に封じ、房州（ぼうしゅう、現在の湖北省十堰市房県）に移しました。さらに、房州の太守には自身の師である辛文悦（しん ぶんえつ）を任命し、柴宗訓の守役を兼任させました。これは、従来の禅譲劇とは異なり、柴宗訓を殺害する意思がないことを内外に示すための人事でした。柴宗訓が21歳で病死したという知らせを受けた趙匡胤は深く悲しみ、皇帝の形式にのっとった葬儀を執り行ったとされています。

年号

顕徳（けんとく）（960年）

柴宗訓の短い治世は、五代から宋への移行期における重要な出来事であり、趙匡胤による宋王朝の成立を決定づけるものでした。

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