柴田利秋

柴田利秋：中央競馬史に名を刻んだ三兄弟の末弟

柴田利秋氏は、1950年10月22日、青森県上北郡上北町（現・東北町）で誕生しました。競走馬生産も営む農家に生まれ、元騎手・調教師である柴田政見氏と柴田政人氏を兄に持ち、中央競馬史上初の三兄弟ジョッキーとして知られる「柴田三兄弟」の末弟です。叔父は元調教師の柴田不二男氏、甥は現騎手の柴田善臣氏、息子はプロ野球選手（西武）の柴田博之氏と、競馬界のみならず、幅広い分野で活躍する一家に育ちました。

華々しいデビューと初期の活躍

1972年3月4日、中山競馬場第2競走4歳新馬戦でデビュー。兄である政見氏も同レースに出走するという、三兄弟同時騎乗という歴史的瞬間を刻みました。同年5月6日、東京競馬場第4競走4歳未勝利戦で初勝利を収めます。デビュー戦と初勝利のレースには、後に弟として名を馳せる津曲三兄弟の長兄・忠美氏も騎乗しており、競馬史に残る出来事となりました。

同年7月15日には、東京競馬場第11競走5歳以上300万下で16頭中16番人気という低評価ながら、ハツザンに騎乗し、1番人気馬をハナ差で破る大金星をあげました。この勝利は、単勝、枠連万馬券という波乱を巻き起こしました。さらに、中山大障害（秋）では3着に入るなど、デビューイヤーからその実力を示しました。1年目は夏の福島競馬場での2勝を含む6勝を挙げ、将来を嘱望されました。

2年目の1973年には、東京競馬場で初の2日連続勝利、中山競馬場では初の1日2勝を達成。自己最多となる13勝を挙げました。3年目となる1974年には、中山大障害（春）を制したグランドマーチスが出走した東京障害特別（春）で3着に入る健闘を見せました。

中盤から引退まで

1975年には石栗龍雄厩舎に移籍。1976年には、兄である政見氏がセイユウ記念を制したトクノハルオーに騎乗し、アラブ王冠（春）、タマツバキ記念を連勝するなど、活躍の場を広げました。同年には、トウショウボーイやクライムカイザーが出走した札幌記念にも騎乗するなど、重賞競走への挑戦も続けました。しかし、中央競馬において三兄弟による重賞勝利は他に例がなく、1976年の6勝中5勝をトクノハルオーで挙げたことは、彼の騎乗技術の高さを物語っています。

1979年には叔父である柴田不二男氏の厩舎に移籍。その後は勝利数が減少していき、1985年には無勝利に終わりました。1987年12月20日、中京競馬場第12競走4歳以上400万下でホクザンストロングに騎乗し、最後の勝利を挙げました。そして、1988年2月13日、京都競馬場第10競走大和特別でエイコウチャイムに騎乗したレースを最後に現役を引退しました。

騎手としての軌跡とその後

柴田利秋氏は、中央競馬史上初の三兄弟ジョッキーとして、その名を競馬史に刻みました。デビューから引退まで、数々の名馬に騎乗し、幾多のレースを戦い抜きました。華々しいデビューから、苦難を乗り越えながら、最後まで騎手としての道を貫き通したその人生は、多くの競馬ファンに感動を与え続けています。

彼の活躍は、単なる騎手としての成功にとどまらず、家族の絆、そして競馬界への貢献という点においても、大きな意味を持っています。柴田三兄弟として、また個々の騎手として、競馬界に多大な貢献を果たした彼の功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

もう一度検索