柴田常恵

柴田 常恵（しばた じょうえ）の生涯と業績

柴田常恵は、1877年7月18日に愛知県春日井郡大曽根村で生まれました。彼は浄土真宗の寺の住職の三男として育ちました。1897年、彼は上京し、苦学の末に私立真宗東京中学高等科に入学し、その後さらに私立郁文館内の史学館で歴史学を学びました。この時期、坪井正五郎の講演を聴き、考古学への関心を深めることとなります。

1902年には東京帝国大学に雇われ、理学部人類学教室で勤務を開始しました。さらに1906年には理科大学の助手に昇進し、坪井の手助けをしながら『東京人類学雑誌』の編集に関わり、さまざまな遺跡や遺物の調査に従事しました。1919年、史跡名勝天然紀念物法が施行されたことに伴い、内務省から嘱託として考査員に任命され、その後も歴史研究に携わり続けました。

その後、柴田は慶應義塾大学の講師に就任し、1936年には日吉矢上古墳、1937年には加瀬白山古墳の発掘調査に関与しました。戦後の1950年からは文化財専門審議会の委員としても活動し、1954年12月1日に脳溢血により77歳で亡くなりました。

研究内容と業績

柴田常恵は多岐にわたる研究分野で知られていますが、特に歴史考古学と仏教考古学において顕著な業績を残しました。仏教の教理や教典にも精通しており、また寺院出身の背景を活かして自身の専門分野を広げていきました。1929年には埼玉郷土会を設立し、雑誌『埼玉史談』を発行、同会の顧問として地域の歴史研究を推進しました。

その業績について、大場磐雄は「全体に地味で学会を驚かすような論著は少ないが、」と評しつつも、柴田が学問の師として尊敬されていることを記しています。

著作と重要な業績

柴田常恵は、多数の著作を残しています。単著としては、1920年に発表した『仏像綜鑒』があり、また1971年には大場磐雄編『柴田常恵集』が出版されました。さらに、彼は他の学者との共著や編集作業にも携わっており、例えば『愛知の史蹟名勝』や『石器時代の住居阯』などの書籍があります。

同時に、彼は共編者としても活動し、斉藤隆三との共編で『中尊寺総鑑』を刊行しました。これらの作品は、彼の研究成果を広く一般に伝える役割を果たしています。また、柴田の研究資料は、國學院大學日本文化研究所によって編纂された『柴田常恵写真資料目録』により、現代においても利用されています。

まとめ

柴田常恵は、日本の考古学において重要な役割を果たした人物であり、その業績は歴史考古学や仏教考古学において特に顕著です。彼の教えや研究は、今日の考古学の発展に寄与しており、彼の名は今なお後世に引き継がれています。

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