栃飛龍幸也
栃飛龍 幸也（とちひりゅう ゆきや）
静岡県三島市に生まれた元大相撲力士。春日野部屋の一員として土俵を務め、自己最高位は西十両7枚目に到達した。本名を本間 幸也といい、1987年4月23日生まれ。身長178cm、体重146kgと、突き押し相撲を得意とする体格に加え、O型の血液型を持つ。時に右に動くなど、変化も交えた相撲を見せた。
相撲との出会いは小学校2年生の時。地元の飛龍高等学校に進み、相撲部で鍛錬を積んだ。同校出身の先輩には、後に自身と同じ春日野系統の部屋に進むことになる磋牙司がいた。
高校を卒業後、元関脇栃乃和歌が師匠を務める春日野部屋に入門。2006年3月場所に初土俵を踏み出す。四股名の「栃飛龍」は、自身を育てた母校・飛龍高校の名に由来する。同期には、栃ノ心や松鳳山、竜電といった後に幕内で活躍する力士たちが名を連ねた。
前相撲で一番出世を果たすと、番付に名前が載った翌場所以降も勝ち越しを続け、2007年1月場所に初めて三段目へ昇進する。しかし、この場所では初めての負け越しを経験する。だが、翌3月場所では序二段に番付を下げたものの、7戦全勝で優勝決定戦を制し、見事な序二段優勝を飾る。この優勝によりすぐに三段目へ復帰したが、続く場所ではまさかの7戦全敗に終わってしまう。それでも諦めず、同年7月場所で三段目での初勝ち越しを収めるなど、粘り強く前進を続けた。
2008年5月場所には幕下へ昇進を果たす。その後一度は三段目に番付を落とすが、幕下復帰を目指していた2009年3月場所前、入門前から抱えていた古傷である首の骨を骨折するという重傷を負い、2場所の全休を余儀なくされた。
序二段まで番付を大きく落とした2009年7月場所で土俵に復帰。この場所、高校時代の恩師が逝去するという悲報に接していたが、「恩師に一つでも多くの勝ち星を報告したい」という強い思いを胸に土俵に上がり、再び7戦全勝で2度目の序二段優勝を飾るという、周囲を勇気づける復活劇を見せた。
2010年1月場所に幕下へ復帰すると、その場所で幕下での初勝ち越しを飾り、以降は幕下に定着する。幕下上位の分厚い壁に阻まれる時期もあったが、2011年5月技量審査場所以降は幕下上位に食い込むようになる。2011年11月場所では東幕下5枚目で勝ち越し、場所後の新関取昇進が有力視されたが、残念ながらその期待は叶わず、翌場所も幕下に留まった。
しかし、腐ることなく精進を続けた結果、2013年1月場所に幕下3枚目の地位で6勝1敗という見事な成績を残し、ついに翌3月場所での新十両昇進を確実にした。
念願の関取昇進を果たした2013年3月場所は8勝7敗と勝ち越しを決める。だが、その後は十両の壁に苦しみ、2場所連続で負け越して再び幕下へ陥落してしまう。2014年1月場所で十両に復帰するも、中盤まで好調ながら後半に崩れるパターンが目立ち、勝ち越しには届かなかった。翌3月場所も大きく負け越し、再び幕下へ番付を下げた。
幕下陥落となった2014年5月場所では、東幕下3枚目の地位で勝ち越しを決める。この場所での再十両は際どい状況だったが、十両からの陥落力士が多かったため、幸運にも再び十両の地位を得ることができた。同年11月場所も中盤まで好調だったが後半に失速し、勝ち越しを逃す。2015年1月場所ではインフルエンザの影響もあり、大きく負け越してまたしても幕下へ陥落。その後も番付を落とす時期もあったが、再び幕下上位に戻り、2016年1月場所では関取復帰の可能性を感じさせる成績を残すも、昇進はならなかった。
幕下上位で粘り強く相撲を取り続け、2017年11月場所では西幕下10枚目の地位で7戦全勝を果たし、自身初の幕下優勝を飾った。この優勝により、翌2018年1月場所で3年ぶりに十両へ復帰。しかし、この場所は残念ながら4勝11敗と大きく負け越し、わずか1場所で再び幕下へ陥落となった。東幕下3枚目となった翌3月場所は勝ち越すも、十両復帰は叶わなかった。
最終的に、度重なる怪我と戦いながら土俵を務めた栃飛龍は、2019年5月場所限りで現役生活に終止符を打つことになった。引退の直接的な原因は、高校時代からの古傷であった首の怪我の再発であり、医師からは「少しずれていたら半身不随になっていた可能性もあった」と告げられるほどの深刻な状態だったという。
2019年6月3日には部屋で断髪式が行われ、師匠である春日野親方が止め鋏を入れた。引退後は会社員として運送業に従事する予定が示されているほか、高校時代に食文化コースで学んだ経験から「飲食店を開きたい」という夢も抱いていることを明かしている。
部屋選びの縁: 同郷で高校の先輩でもある磋牙司が、自身と同じ春日野系統の部屋（入間川部屋）に所属していたこと、また磋牙司から大師匠・栃錦の弟弟子である栃ノ海に関する話を聞いていたことが、春日野部屋入門への抵抗感を和らげた一因となったという。
稽古での工夫: 本場所でマウスピースを着用する力士が増えているが、栃飛龍は稽古中もマウスピースを使用していた。
地域貢献活動: 2014年8月1日には、出身地に近い静岡県沼津市内で多発していた振り込め詐欺の被害防止キャンペーンに、同県出身の香富士と共に参加。母校・飛龍高校の卒業生宅でも被害があったことに触れ、「詐欺犯の手口は常に変化するので注意してほしい」と呼びかけた。
通算成績: 315勝289敗14休（勝率.522、在位79場所）
十両成績: 49勝86敗（勝率.363、在位9場所）
各段優勝:
幕下優勝1回（2017年11月場所）
序二段優勝2回（2007年3月場所、2009年7月場所）
静岡県三島市に生まれた元大相撲力士。春日野部屋の一員として土俵を務め、自己最高位は西十両7枚目に到達した。本名を本間 幸也といい、1987年4月23日生まれ。身長178cm、体重146kgと、突き押し相撲を得意とする体格に加え、O型の血液型を持つ。時に右に動くなど、変化も交えた相撲を見せた。
来歴
相撲との出会いは小学校2年生の時。地元の飛龍高等学校に進み、相撲部で鍛錬を積んだ。同校出身の先輩には、後に自身と同じ春日野系統の部屋に進むことになる磋牙司がいた。
高校を卒業後、元関脇栃乃和歌が師匠を務める春日野部屋に入門。2006年3月場所に初土俵を踏み出す。四股名の「栃飛龍」は、自身を育てた母校・飛龍高校の名に由来する。同期には、栃ノ心や松鳳山、竜電といった後に幕内で活躍する力士たちが名を連ねた。
前相撲で一番出世を果たすと、番付に名前が載った翌場所以降も勝ち越しを続け、2007年1月場所に初めて三段目へ昇進する。しかし、この場所では初めての負け越しを経験する。だが、翌3月場所では序二段に番付を下げたものの、7戦全勝で優勝決定戦を制し、見事な序二段優勝を飾る。この優勝によりすぐに三段目へ復帰したが、続く場所ではまさかの7戦全敗に終わってしまう。それでも諦めず、同年7月場所で三段目での初勝ち越しを収めるなど、粘り強く前進を続けた。
2008年5月場所には幕下へ昇進を果たす。その後一度は三段目に番付を落とすが、幕下復帰を目指していた2009年3月場所前、入門前から抱えていた古傷である首の骨を骨折するという重傷を負い、2場所の全休を余儀なくされた。
序二段まで番付を大きく落とした2009年7月場所で土俵に復帰。この場所、高校時代の恩師が逝去するという悲報に接していたが、「恩師に一つでも多くの勝ち星を報告したい」という強い思いを胸に土俵に上がり、再び7戦全勝で2度目の序二段優勝を飾るという、周囲を勇気づける復活劇を見せた。
2010年1月場所に幕下へ復帰すると、その場所で幕下での初勝ち越しを飾り、以降は幕下に定着する。幕下上位の分厚い壁に阻まれる時期もあったが、2011年5月技量審査場所以降は幕下上位に食い込むようになる。2011年11月場所では東幕下5枚目で勝ち越し、場所後の新関取昇進が有力視されたが、残念ながらその期待は叶わず、翌場所も幕下に留まった。
しかし、腐ることなく精進を続けた結果、2013年1月場所に幕下3枚目の地位で6勝1敗という見事な成績を残し、ついに翌3月場所での新十両昇進を確実にした。
念願の関取昇進を果たした2013年3月場所は8勝7敗と勝ち越しを決める。だが、その後は十両の壁に苦しみ、2場所連続で負け越して再び幕下へ陥落してしまう。2014年1月場所で十両に復帰するも、中盤まで好調ながら後半に崩れるパターンが目立ち、勝ち越しには届かなかった。翌3月場所も大きく負け越し、再び幕下へ番付を下げた。
幕下陥落となった2014年5月場所では、東幕下3枚目の地位で勝ち越しを決める。この場所での再十両は際どい状況だったが、十両からの陥落力士が多かったため、幸運にも再び十両の地位を得ることができた。同年11月場所も中盤まで好調だったが後半に失速し、勝ち越しを逃す。2015年1月場所ではインフルエンザの影響もあり、大きく負け越してまたしても幕下へ陥落。その後も番付を落とす時期もあったが、再び幕下上位に戻り、2016年1月場所では関取復帰の可能性を感じさせる成績を残すも、昇進はならなかった。
幕下上位で粘り強く相撲を取り続け、2017年11月場所では西幕下10枚目の地位で7戦全勝を果たし、自身初の幕下優勝を飾った。この優勝により、翌2018年1月場所で3年ぶりに十両へ復帰。しかし、この場所は残念ながら4勝11敗と大きく負け越し、わずか1場所で再び幕下へ陥落となった。東幕下3枚目となった翌3月場所は勝ち越すも、十両復帰は叶わなかった。
最終的に、度重なる怪我と戦いながら土俵を務めた栃飛龍は、2019年5月場所限りで現役生活に終止符を打つことになった。引退の直接的な原因は、高校時代からの古傷であった首の怪我の再発であり、医師からは「少しずれていたら半身不随になっていた可能性もあった」と告げられるほどの深刻な状態だったという。
2019年6月3日には部屋で断髪式が行われ、師匠である春日野親方が止め鋏を入れた。引退後は会社員として運送業に従事する予定が示されているほか、高校時代に食文化コースで学んだ経験から「飲食店を開きたい」という夢も抱いていることを明かしている。
エピソード
部屋選びの縁: 同郷で高校の先輩でもある磋牙司が、自身と同じ春日野系統の部屋（入間川部屋）に所属していたこと、また磋牙司から大師匠・栃錦の弟弟子である栃ノ海に関する話を聞いていたことが、春日野部屋入門への抵抗感を和らげた一因となったという。
稽古での工夫: 本場所でマウスピースを着用する力士が増えているが、栃飛龍は稽古中もマウスピースを使用していた。
地域貢献活動: 2014年8月1日には、出身地に近い静岡県沼津市内で多発していた振り込め詐欺の被害防止キャンペーンに、同県出身の香富士と共に参加。母校・飛龍高校の卒業生宅でも被害があったことに触れ、「詐欺犯の手口は常に変化するので注意してほしい」と呼びかけた。
主な成績
通算成績: 315勝289敗14休（勝率.522、在位79場所）
十両成績: 49勝86敗（勝率.363、在位9場所）
各段優勝:
幕下優勝1回（2017年11月場所）
序二段優勝2回（2007年3月場所、2009年7月場所）
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