前相撲

前相撲 (まえずもう)

前相撲は、大[[相撲]]において、四股名が番付に載っていない力士が行う相撲のことです。この取組は、主に新弟子検査に合格した者や、前場所で全休した力士などが対象となります。これらの力士は「番付外」と呼ばれ、前相撲を通じて次の場所の番付に載る資格を得ることを「出世」と称します。前相撲は出世力士の確定や、新たに番付に載る力士の序列を決める重要な役割を担っています。そして、この取組の進行は若者頭が担当します。

制度の変遷

前相撲の制度は、江戸時代から続いています。当初は前相撲から相中、本中と段階を踏んで序ノ口に上がる仕組みがありましたが、明治時代には相中が廃止され、前相撲を経て本中に至る制度が主流となりました。
1944年まで、前相撲は「飛びつき」と呼ばれる形で行われており、力士は仕切りなく対戦し、連勝によって白星を積み上げていく方式でした。この時、新序に至るには最低8勝する必要があったため、番付に載るまでに長い道のりが必要でした。

戦後は、新弟子が少なかったため、前相撲の形式が変更され、成績が良い力士は場所中に序ノ口として取組ができるようになり、結果的に次場所の番付で序二段として位を得ることもありました。1956年には再び連勝制が復活し、自費養成力士も前相撲ができるようになりましたが、自費制度は翌年には廃止されました。

さらに、1971年には中学在学中の入門が禁止され、力士志願者が増加したため、1973年から3月場所を前相撲形式にする取り組みが始まりました。この頃、順調に進んでいた前相撲でしたが、1985年には「番付外」取組の扱いについての議論から、1986年からは前相撲の取組はすべて正式に扱われることになりました。

進行の流れ

前相撲は本場所の序ノ口の取組の前に、午前8時25分ごろから実施されます。原則として、力士は1日に1番のみ相撲を取り、特定の勝数を挙げることで勝ち抜けていくことになります。これにより、次場所の番付における序列が決定されます。

取組は非常に厳格に進行しますが、同じ部屋に所属する力士間の対戦が避けられたり、全出場者数が奇数になった場合は取組調整が行われるなどの工夫がなされます。また、前相撲の力士は四股名、出身地、所属部屋のアナウンスが行われず、単に「前相撲を開始いたします」と「前相撲は終わりました」といったアナウンスのみが行われます。

最近の傾向として、2020年のコロナ禍では前相撲が実施されない状況もあり、その後数年間も取り組みが形骸化しているとの指摘もあります。

出世披露

出世の資格を得た力士は、本場所中に観客の前で披露され、正式に力士として認められます。この披露は特殊な儀式として行われ、力士が師匠や部屋の関取の化粧廻しを身につけ、アナウンスを通じて彼らの四股名や出身地が紹介されます。出世力士が少ない場合は、出世披露の機会が特別に設けられることもあります。

結論

前相撲は大[[相撲]]の中で力士が成長するために不可欠な制度であり、彼らの将来の道を開く重要なステップと言えるでしょう。このような長い歴史を持ちながらも、時代の変遷と共に変化してきた前相撲の制度や進行は、相撲界の魅力を深める要素の一つです。

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