栄光の6月1日

栄光の6月1日

栄光の6月1日（えいこうのろくがつついたち）、英語では「Glorious First of June」と呼ばれるこの海戦は、1794年6月1日に大西洋で行われたもので、イギリスとフランスの海軍の間での主要な戦闘の一つです。この戦いは、フランス革命戦争における最初かつ最大の海戦として位置づけられています。

戦争の背景

1792年から続くフランス革命戦争において、フランスはオーストリアやプロイセンと戦闘状態にありました。フランス側は食糧不足に直面し、1794年4月から5月にかけて、アメリカおよびその植民地から穀物を輸送するための船団を編成しました。この船団は、提督ルイ・トマ・ヴィラレー・ド・ジョワイユーズの指揮の下、フランス本国への食料輸送を目的としていました。

一方、イギリス海峡艦隊は、リチャード・ハウ提督の指揮のもと、フランス船団の本国到着を妨害するために出撃しました。イギリス艦隊がフランス船団を捕捉したのは1794年5月28日のことで、続く海戦は6月1日に発生しました。

戦闘の経過

海戦は、ウェサン島の約400海里西、741キロの位置で行われました。海戦においては、両艦隊とも疲弊しましたが、決定的な勝敗はつかず、それぞれの艦隊は母港に戻りました。

ハウ提督の独自の命令により、イギリス艦隊は個別にフランス艦と交戦するよう指示されましたが、この指示が艦長たちに完全に伝わったわけではなく、戦闘の結果、イギリス艦隊の攻撃は断片的なものとなりました。しかし、それでもイギリス艦隊はフランス艦隊に損害を与え、戦術的勝利をおさめました。フランス艦隊は7隻を失いながらも、輸送船団の本国への到着を果たしました。

戦闘後の状況

結果として、両国は戦闘での自国の勝利を主張しました。イギリスは艦を失うことなく、フランス艦隊に損害を与えたと報じました。一方、フランスは本国に食料を送り届ける重要な任務を達成したと主張しました。

この海戦は、英仏双方の海軍の多くの問題を明らかにしました。艦の指揮官たちには不服従が見られ、乗員の訓練不足も際立っていました。この結果、戦闘の真っ最中に十分に艦を制御できず、両艦隊は多くの損害を被りました。

両国の反応

戦後、イギリスもフランスも、それぞれの艦隊と指揮官に対してさまざまな称賛と批判が行われました。イギリスでは、艦隊は多くの褒賞を受け、艦長は昇進しましたが、いくつかの艦長には不満の声も上がりました。フランス側では、ヴィラレー提督は中将に昇進し、海軍上層部による評価は分裂しました。特に、指揮官の束縛や有能な水兵の不足が問題視され、その後の戦いにおいてフランス海軍は苦難を経験することとなります。

結論

栄光の6月1日は、英仏双方の海軍にとって重要な教訓となり、その後の戦闘戦略に影響を与えました。また、この戦いは、両国の海軍が直面した問題の深刻さを浮き彫りにしました。これをによって、英仏の海上権力の変遷が一層鮮明になったのです。

もう一度検索