栗原勝

栗原勝：浜松市の発展に貢献した建築家出身の市長

栗原勝（くりはら まさる）は、1924年10月3日に生まれ、2013年10月9日に89歳で亡くなった政治家です。三重県出身であり、東京工業大学を卒業後、浜松市長を5期20年務めました。全国市長会会長も歴任しています。

生い立ちと建築家としての歩み

栗原勝は、群馬県出身の祖父を持つキリスト教徒の家庭に育ちました。浜松工業専門学校（現・浜松高等工業学校）図案科を卒業後、東京工業大学（旧制）建築学科に進学し、谷口吉郎に師事しました。谷口が馬籠に藤村記念館を建築する際には、栗原も協力しています。1947年に東京工業大学を卒業後、1948年に浜松市役所に入庁しました。

浜松市役所では、初の公選市長である坂田啓造の下で、浜松空襲からの復興事業に携わりました。1950年に開館し、「東海一」と謳われた浜松市立図書館を設計したのは栗原です。その後、企画課長、企画調整部長、財政部長、収入役を歴任しました。

浜松市長としての実績

1979年の浜松市長選挙に立候補して当選し、1999年まで5期20年間市長を務めました。就任時の浜松市の人口は40万人台でしたが、退任時には60万人台に増加しています。

建築学科出身の市長として、栗原は学校建築に力を入れました。戦後の学校建築は金太郎飴のようなものが多かった中、栗原は個性的な学校建築を推進しました。1981年完成の浜松市立滝沢小学校は、全国に類を見ないデザインで、コミュニティーセンターやオープンスペースのグループ学習室が設置されたのが特徴です。他にも、浜松市立都田南小学校（1982年）、浜松市立葵西小学校（1984年）、浜松市立三方原中学校（1984年）、浜松市立東陽中学校（1985年）、浜松市立富塚中学校（1987年）などが、個性的な形状や色彩で注目を集めました。

文化施設も数多く建設しました。賀茂真淵記念館（1984年）、浜松まつり会館（1985年）、浜松科学館（1986年）、クリエート浜松、浜松復興記念館、浜松文芸館（1988年）、浜松アリーナ、フォルテ（1990年）などが開館しています。1982年には浜松駅前の円形バスターミナルを完成させ、1990年代前半にはアクトシティ浜松を完成させました。

また、全国に先駆けてテクノポリス構想を推進し、1991年には浜松工業技術センターを開所させました。浜松市長在職中には、全国市長会会長、静岡県市長会会長なども務めました。

その後

1999年に引退し、2013年10月9日に老衰のため89歳で亡くなりました。死没日をもって従四位に叙されています。

栗原勝は、建築家としての知識と経験を生かし、浜松市の発展に大きく貢献した人物です。特に、学校建築や文化施設の建設に力を入れ、浜松市に個性的な建物を数多く残しました。彼の功績は、今も浜松市民に深く記憶されています。

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