栗原美能留

栗原美能留は、1902年（明治35年）に長野県松本市で生まれ、1997年（平成9年）に94歳で亡くなった日本の官僚です。内務省に入省し、地方行政や社会政策に携わりました。戦前には、青年運動に関わり、大日本連合青年団の幹部や大政翼賛会にも参加しています。

生い立ちと学歴

栗原美能留は、警視庁巡査部長の四男として生まれました。成蹊中学校、第一高等学校を経て、1925年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しています。大学在学中の1924年には、文官高等試験行政科試験に合格し、官僚としての道を歩み始めました。

内務官僚としてのキャリア

1925年、内務省に入省した栗原は、東京府属として内務部社会課に配属されました。その後、社会局や労働部で勤務し、社会政策や労働問題を担当しました。1931年から1932年には、欧米に出張し、海外の社会政策や労働事情を視察しています。1934年に内務省を辞職し、満州国政府民政部で文書人事科長を務めました。その後、1936年に内務省に復帰し、内閣調査局や企画庁、企画院で勤務しました。

戦時中の活動

戦時中には、栗原は青年運動に関与し、大日本連合青年団の常任理事、理事長事務取扱などを歴任しました。また、大政翼賛会にも参加し、組織局青年部長や総務局庶務部長を務めました。さらに、大日本翼賛壮年団の理事兼指導部長、興南錬成院の錬成官としても活動しました。

高知県知事と終戦

1944年、栗原は内務省に復帰し、福岡県内政部長に就任しました。1945年4月には、高知県知事に任命され、終戦を迎えました。戦後、厚生省社会局長に転じましたが、1946年に辞職し、公職追放の処分を受けています。1951年に公職追放が解除され、日東精工の社長に就任しました。

教育者としての活動

栗原は、1956年から1975年まで学校法人成蹊学園の常務理事を務め、教育にも貢献しました。戦前には青年教育に関する著作も発表しており、教育分野にも関心があったことが伺えます。

著作活動

栗原は、官僚としての活動の傍ら、著作活動も行いました。『青年教育の革新』、『新体制下の青年の任務』などの著作を発表したほか、エドアード・ベルンスタインの著書を翻訳するなど、幅広い分野で活動しました。また、晩年には内政史研究会で自身の談話を速記録として残しました。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。

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