栗山文昭

栗山文昭（くりやま ふみあき）

栗山文昭は、1942年1月17日生まれの日本の合唱指揮者です。島根県出身で、合唱音楽界において卓越した指導力と芸術性で知られています。

経歴

島根県立益田高等学校、島根大学教育学部特設音楽科を卒業後、合唱指揮を田中信昭、高階正光に師事しました。二期会合唱団、東京混声合唱団で研鑽を積み、カラヤン指揮の第九を歌うなど、貴重な経験を積みました。

現在、13の合唱団を擁する「栗友会」の音楽監督及び指揮者として活動する傍ら、武蔵野音楽大学教授、島根県芸術文化センター グラントワ芸術監督も務めています。また、合唱人集団「音楽樹」の代表幹事として、「Tokyo Cantat」などの企画にも携わっています。

実績

1994年まで参加した全日本合唱コンクールでは、数多くの金賞・最高賞を受賞し、「栗山現象」とまで言われました。栗友会所属のコーロ・カロスは、1994年にスペイン・トロサ国際合唱コンクールでグランプリを獲得、翌1995年にはヨーロッパグランプリ合唱コンクール（イタリア）でもグランプリを受賞しました。栗山は、日本の現代作曲家への委嘱活動にも積極的で、海外での演奏機会も多数あります。

受賞歴

1997年、益田市スポーツ・文化顕彰を受賞。
2002年、第20回中島健蔵音楽賞奨励賞を受賞。

音楽性

栗山は、合唱をオーケストラや室内楽と同等の芸術として捉え、その芸術性を徹底的に追求しています。選曲においては、自身の直感や感性を重視し、古典から現代音楽、委嘱作品まで幅広いジャンルを扱います。栗友会の各合唱団はそれぞれ異なる個性を持っており、その多様性が栗山音楽の特徴の一つです。

音楽評論家の日下部吉彦は、栗山の選曲を「見本市」と評し、その多様性を高く評価しました。作曲家の三善晃は、栗山の音楽家としての資質を「同化と異化の高度な融合」と表現しています。

全日本合唱連盟との関係

かつては全日本合唱連盟の「最大のスター」としてもてはやされ、要職も歴任しましたが、コンクールからの撤退後は、合唱連盟の姿勢を批判する立場に転じました。「連盟の中にいて待っていたら死んじゃいますよ、夢をかなえる前に。」という言葉は、栗山の現状に満足せず、常に新しいものを追求する姿勢を表しています。

主なディスコグラフィー

交聲詩「海」 三善晃合唱の世界（カメラータ・トウキョウ）
青島広志合唱作品集 本家マザー・グースのうた（フォンテック）
三善晃女声合唱作品集（フォンテック）
日本合唱曲全集 三善晃作品集2（日本伝統文化振興財団）
日本合唱曲全集 三善晃作品集4（日本伝統文化振興財団）
日本の作曲・21世紀へのあゆみ9 新しい合唱の息吹（「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」実行委員会）
栗山文昭の芸術1 南海譜 新実徳英作品集（ビクターエンタテインメント）
栗山文昭の芸術2 二月から十一月への愛のうた 寺嶋陸也作品集（ビクターエンタテインメント）
栗山文昭の芸術3 かなしみについて 三善晃作品集（日本アコースティックレコーズ）
ろくもんめコンサート（日本アコースティックレコーズ）
ななもんめコンサート（日本アコースティックレコーズ）

参考文献

「創立50年記念特別企画 合唱50年史PART5　変革の時代、21世紀への架け橋」-社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.96、1996年4月10日発行。
「50年、今が“改革”のとき-外側から見た合唱連盟」-社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.99、1997年1月10日発行。
「私のプログラムビルディング8 『能書きに頼らず広く目配りを』」-社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.111、2000年1月10日発行。

外部リンク

武蔵野音楽大学教員紹介 栗山文昭

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