田中信昭

田中信昭（たなか のぶあき）: 日本の合唱指揮者

田中信昭は1928年に新潟県に生まれ、2024年に亡くなるまで日本の合唱音楽に大きな影響を与えました。東京混声合唱団の創立者として知られ、多くの合唱曲の初演を手がけ、400曲以上の作品を指揮しました。彼の業績は合唱指揮の枠を超え、音楽教育にも広がっており、多くの学生やアマチュア合唱団に指導を行っていました。

人物・来歴

田中は大阪高校を中退した後、1951年に中学校教員を辞めてNHK大阪放送合唱団に入団しました。彼の指揮者としての道は、指揮者森本芳雄の急逝によって開かれたことがきっかけでした。1952年、東京藝術大学音楽学部に入学し、声楽をネトケ＝レーヴェに、指揮法をクルト・ヴェスから学びました。1956年、東京藝術大学の有志によって東京混声合唱団が創立され、田中は常任指揮者に就任し、初回の定期演奏会を成功させました。

その後、1997年には桂冠指揮者に、2007年には音楽監督と理事長の職を引き受け、音楽界でのリーダーシップを発揮しました。2014年には音楽監督を退任し、後任には山田和樹が選ばれました。市民合唱団や学生合唱団の指導にも力を注ぎ、「法政大学アリオンコール」「合唱連盟虹の会」などでもその才能を発揮しました。

業績と受賞歴

田中は数々の称賛を受け、1986年には毎日芸術賞、2006年には朝日現代音楽賞、2010年にはエクソンモービル音楽賞を受賞しました。また、2000年には勲四等瑞宝章、2016年には文化功労者に選出され、その功績が広く認められました。彼の活動は日本の合唱界を発展させただけでなく、多くの若手指揮者や演奏者に影響を与えました。

ディスコグラフィー

田中信昭は多くの録音にも関与しており、いくつかの作品集に名を連ねています。彼の指揮による合唱曲は、現代音楽から古典的な作品まで幅広く、多くのレーベルからリリースされています。特に「小鍛冶邦隆作品集II」や「柴田南雄 合唱のためのシアター・ピース」などが評価されています。

著作

田中は指揮者としての経験をもとに、音楽教育に関する著書も残しています。特に「絶対! うまくなる 合唱100のコツ」は多くの指揮者や合唱団にとって参考になる実用書です。

死去

田中信昭は2024年9月12日に自宅で亡くなりました。96歳という長寿の中で、彼は音楽と教育に生涯を捧げ、多くの人々に感動と教育を与え続けました。彼の死は、日本の合唱界にとって大きな損失であり、その功績は永遠に語り継がれることでしょう。

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