栗岩英治

栗岩英治は、1878年（明治11年）10月1日に、長野県水内郡寿村（現在の飯山市）で医師の家に生まれました。号は酔古などです。

医業を志し、1894年（明治27年）に上京して旧制独逸協会中学に入学しますが、中退します。その後、1901年（明治34年）に再び上京し、長谷川泰が設立した済生学舎で医学を学びました。1902年（明治35年）には、政教社の同人となり、雑誌「日本及び日本人」に寄稿し、美術雑誌「芸苑」などを発刊しました。その後、満州や朝鮮に渡り、樺太で事業を興しましたが、帰国。木更津新聞の主幹などを経て、故郷に戻り、1910年（明治43年）には長野新聞の編集長に就任しました。

その後は、長野県の歴史研究に没頭し、1929年（昭和4年）に「長野県史」編纂委員となり、「信濃史料刊行会」の発足の中心人物として活躍しました。県内外を精力的に歩き回り、史料を収集しました。また、「信濃講座」を設け、『市河家文書』をはじめとする約3000点もの古代・中世史料を収集しました。さらに、毎年臨地指導を行うなど、若い歴史研究者の育成にも尽力しました。1932年（昭和7年）には、信濃郷土史研究会（現在の信濃史学会）から第一次「信濃」を刊行しました。1936年（昭和11年）には、長野県師範学校の嘱託となり、郷土史講座を担当しました。1943年（昭和18年）には、長野市文化会郷土部長に就任しました。雑誌「信濃」などで、郷土史に関する多くの論文を発表しました。

終戦直後の1946年（昭和21年）に亡くなりましたが、「信濃史料刊行会」は一志茂樹らに引き継がれ、「信濃史料」全30巻が刊行されました。彼の功績は、現在もなお高く評価されています。

主な著作

「下水内郡誌」
「信濃古牧考」
「信濃古文献考」
「信濃国地字略考」
「信濃荘園の研究」
「諏訪研究」
「善光寺物語」
「郷土人の郷土研究」
「町村の史的価値及びその研究法」
「古文書実習帳」

参考文献

『日本人名大辞典』 講談社、2001年
『20世紀日本人名事典』 日外アソシエーツ、2004年

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