一志茂樹

一志茂樹（いっし しげき）

プロフィール

一志茂樹は、1893年11月12日に長野県北安曇郡社村（現在の大町市）に生まれ、1985年2月27日に生涯を閉じました。日本の郷土史研究において重要な役割を果たした人物であり、教育者としても長年貢献しました。

生い立ちと教育

旧制大町中学校（現在の長野県大町高等学校）を経て、1914年に長野師範学校を卒業しました。卒業後は長野県下の小学校で33年間教鞭をとり、教育者としてのキャリアを築きました。

郷土史研究への貢献

1927年、北安曇郡教育会郷土調査主任に就任し、「北安曇郡郷土誌稿」の編纂に携わったことをきっかけに、郷土史研究に本格的に取り組み始めました。その後、信濃教育会幹事、「長野県史」編纂会委員などを歴任し、長野県の歴史研究の中核的な存在として活躍しました。

特に重要な業績として、1942年に信濃史学会を再興し、主幹として機関誌「信濃」の編集発行を担ったことが挙げられます。また、「信濃史料」全30巻や「新編信濃史料叢書」全19巻を編纂・完成させるなど、長野県の歴史研究に多大な貢献を果たしました。

1961年には、「古代東山道の研究」により國學院大學から文学博士の学位を授与されました。1966年には、長年の功績が認められ、紫綬褒章を受章しました。

1976年には、長野県文化財保護審議会長を務め、平出遺跡の発掘にも尽力しました。さらに、平凡社が刊行した『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』では監修者として、その専門知識を活かしました。

著書

一志茂樹は、多数の著作を執筆しており、その学術的な価値は高く評価されています。主な著書としては、以下のようなものがあります。

「美術史上より見たる仁科氏の研究」
「信濃国御厨史料とその考察」
「歴史のこころ」
「古代東山道の研究」
「地方史に生きる」

参考文献

一志茂樹に関する研究や資料は、以下の文献で確認できます。

『長野県歴史人物大事典』 郷土出版社、1989年
* 古川貞雄 著「一志茂樹」、今谷明ほか 編『20世紀の歴史家たち(5)日本編 続』刀水書房〈刀水歴史全書45〉、2006年、105-119頁。ISBN 4887082320。

まとめ

一志茂樹は、長野県の郷土史研究に生涯を捧げた人物であり、その業績は今もなお高く評価されています。教育者としての経験も活かし、後進の育成にも貢献しました。彼の残した資料や研究は、長野県の歴史を理解する上で不可欠なものとなっています。

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