根井行親

根井行親（ねのい ゆきちか）は、平安時代末期の武将であり、源義仲の有力な家臣として知られています。俗に「義仲四天王」の一人に数えられています。彼の出自は、滋野氏の庶流である望月氏です。一説には、滋野氏の嫡流である海野幸親（滋野行親）と同一人物であるとも言われています。

行親は、保元元年（1156年）の保元の乱において、源義朝に従い活躍したと伝えられています。その後、治承4年（1180年）に信濃国小県郡丸子の依田城で挙兵し、源義仲の麾下となりました。彼は義仲に従い、各地を転戦し、その武勇を示しました。養和元年（1181年）9月には、水津の合戦で平通盛、経正らを破るなど、武将としての才能を発揮しました。

元暦元年（1184年）の宇治川の戦いでは、義仲の命を受け、子である楯親忠や源義広らと共に300余騎を率いて宇治の防衛にあたりました。しかし、2万5千騎という圧倒的な兵力を誇る源義経軍を前に、防戦は叶わず、宇治川を突破されてしまいました。この戦いで、行親は一族の武将たちと前後して敗死したとされています。

また、宇治川の戦いでは、先陣を焦った頼朝方の武将、畠山重忠の愛馬である磨墨（するすみ）を射たという逸話も残されています。これは、彼の弓術の腕前を物語るエピソードとして知られています。

行親は、宇治川の戦いの後、同年1月26日に、源義仲や今井兼平、高梨忠直らと共に、東洞院の北にある獄門の木に梟首されました。その悲劇的な最期は、歴史に深く刻まれています。

現在、長野県佐久市には、行親の供養塔と伝えられる多層塔が現存しており、彼の武勇と悲劇的な生涯を今に伝えています。

脚注
『後鳥羽天皇紀』（元暦元年正月上 一・元暦元年正月下 二）
『源平盛衰記』
* 『吾妻鏡』

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